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「……紺田君ーーーー…!?」 私は振り替え切る前に、彼に後ろから抱きしめられる。 そして直ぐにこれが契約違反であるとーーー約束が違うと言わなければと息を吸った。 「ーーー荷物一緒にまとめます… ーーー…湯川さん…また倒れちゃうんじゃないかなと思ってーーーー ーーー心配で、バイト休んじゃいましたーーー」 バイトを、休んだーーーー。 それを聞いて彼がここにいる事に納得が言った。 私が退職の挨拶に行きたいからと、内緒でちなみから貰ったシフト表ではーーー今日は彼…紺田君は16時からシフトに入っていた。 「大丈夫…ですか?」 「………?」 「……震えてますよ」 紺田君の言っている大丈夫ですかの意味が分からず彼を見上げると、紺田君は後ろから私の手を握ってそう告げた。 言われて初めて、私は自分の手が震えている事に気づく。 私はそっと、紺田君の手を自分の手から外した。 「ーーーーごめん…。 ーーーでもーーーもう大丈夫だからーーー! ーーー帰ってもいいよ…! こんなの誰かに見られたらーーー大変な事になるしーーー」 そう。帰って欲しい。 これが紺田君の彼女に見られたりしたらーーー大変な事になる。 「帰りません。 こんな状態でーーー1人にして……重い荷物持たせて帰れるわけないでしょ…」 私を後ろから抱きしめる手が、少しだけ狭まる。 心配してくれる事はありがたいしーーー正直一緒にいてくれて助かるーーーでもーーー今はダメだーーーー。 私と一緒にここに居るのはーーーリスクが大きすぎる。 「ーーーありがと紺田君…。 ーーーでも…本当に大丈夫…! ーーー荷物載せる台車も…菅原さん玄関にあるから使ってくださいって言ってたしーーー ………それに…私と一緒にいるの彼女に見られたらーーー紺田君引っ叩かれちゃうよ……!」 私は何ともない風の笑顔を作り、自分の身体を庇うように巻き付けられた紺田君の腕を外そうとした。 「彼女ーーーーー? ーーーーあぁ…アレ……嘘です……」 その言葉に私は固まった。 嘘……? 「ーーーあの日…そうでも言わないと湯川さんと一緒にいられないと思ってーーー… だから嘘ですーーー… ーーーー彼女なんて相手……もうずっと前に別れてーーー今はいません」 心臓の鼓動が、確実に速くなった。 嘘だなんて思いもしなかったと同時に、私は相当まずい事をしたのではないかと、自分の行動を振り返り始める。
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