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「ーーーー主人の束縛が…異常でーーー ーーー耐えきれなかったんです……」  私が言ったこの言葉に、澤田さんも紺田君も驚かない。 私は息を目一杯吸い込んで続ける。 「最初は優しくてーーー寛大な男性だと思っていました… でもだんだんとーーーあの人は私を束縛する様になってーーーー… 家には監視カメラ、車と携帯にはGPS… ーーー私……好きで結婚したとはいえ耐えられなくて…… ーーーーそれに携帯電話の中身も時々見せろと言われてーーーーあの日もそれでーーー口論になったんですーーーーー」 そう。 あの日も口論になった。 食事をしている時からそれを問い詰められてーーーー私はレストランのテーブルで仕方なく携帯をあの人に見せた。 ーーーーあの時の…恐怖と言ったらーーーー 「あの日ーーーー ーーー何がきっかけだったんですか…?」 私は聞かれて、コレを口にして良いか躊躇う。 でも言わなければならない。 私は意識せずとも、自分の声が小さくなるだろうなと思った。 「ーーーー葛西君と私が話しているのを見て怒ったあの人はーーー携帯電話の中身も見せろと言ってきましたーーー…… それで……紺田君とのLINEのやりとりを……見られてしまったんです」 私の声は予想通り、申し訳なさから小さくなった。 紺田君の顔を見れない。 でもーーーー紺田君が…すごく驚いているであろう事は分かる。 「LINEの内容はーーーたわいもない仕事の話だったんです…… 仕事の事以外のラインをしてるとしたらーーー 今日は忙しかったね、大学お疲れ様、気をつけて行ってきてねーーーーってそんな…なんて事ない内容くらいでした… でもあの人はーーー怒ってしまってーーーー ーーーー私を薬品庫に連れて行ったんですーーー」 澤田さんは少しだけ怪訝そうに眉を顰めた。 「薬品庫にーーーー? ーーーー何故貴女をわざわざーーー」 「お仕置きをーーーーする為にです」 澤田さんも紺田君も、2人とも同時に息を止めた気配があった。 お仕置きはーーーあの人の常套句だった。 あの日もーーーーそうだった。 私は自分の手をぎゅっと握った。 そうしなければ手が震えてしまいそうだったから。 「あの人は私をーーー気に食わない事があるとレイプしてたんですーーー… ……それはもう……日常的でーーー… 『夫婦間でもレイプが成立する』って言って…訴えて離婚する……って反抗した時もありますーーーー! でもーーーー…私怖くてーーー…結局いつも力ずくで……あの人に体をーーーー」 私は思い出して、あの人がいるはずないのに自分の体を自分の手で包む様にして身を縮こませる。 嫌って言っても、叫んでもーーー身を捩って抵抗してもーーーー絶対にやめてくれない性行為ーーーー。 それは苦しくてーーー早く終わってほしくてーーーー
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