10

9/10

177人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「デートレイプドラッグ…知ってる? 飲み物に混ぜてーーー大人しくさせてからレイプする為に使う。 ーーーー美緒を喉から手が出る程欲しいって男がいてさーーー今日食事した後に、その男に美緒を紹介しようと思ってーーーーー」 頭が真っ白になった。 何で伊賀がこんなもの持ってるんだーーーそもそもーーー美緒と伊賀は幼馴染な筈だろーーー? 小さい頃から一緒に居た幼馴染の美緒をーーーー美緒を喉から手が出る程欲しい男にーーーー紹介するーーーーー? 「ーーー紹介ってのも変か…… ーーー売るんだ、美緒を、その男にーーーー」 その瞬間、俺は伊賀の胸ぐらを掴んだ。 伊賀は俺がこうすると分かっていたかのように、声を上げて笑った。 「ーーー驚いたな…! ーーーーお前が俺にこうやって来るなんて… …もっと育ちが良いーーー可愛い顔した、お坊ちゃんだと思ってたのにーーー」 「警察に連れていく…犯罪だぞ…!!!」 俺が言うと、伊賀は呆れるように笑った。 「犯罪だよ?ーーーだからなんだ? ーーーー言っておくけど美緒の携帯は俺が持ってる……俺が自分を売ろうとしてるって……お前が伝えようとしてもその術は無いーーー ーーーーーだからさ、交渉しようぜ?」 伊賀は俺の手を自分の胸ぐらから外した。 「ーーーー交渉?」 俺は何故か、その交渉内容を尋ねてしまった。 伊賀はその切れ長の目に、冷酷さを湛えて息を吸った。 「お前辞退しろよーーー明日の、研究発表会」 「ーーーーーー」 その言葉を頭の中でもう一度繰り返す。 辞退ーーーーー? 今までーーーー何ヶ月もーーーー何年もかけてやってきたのにーーーーー? 「ーーーお前がいると俺が1番になれないんだよ。 ーーー大学の時からーーーずっとそうだった… ーーーー邪魔なんだよ…お前……! ーーーーなぁ…安いもんだろ…そんくらい…! お前さえ辞退すれば…美緒にこれ飲ませるのも辞めてーーーーその男に売るのもやめてやるよーーーー?」 頭の中がぐちゃぐちゃになる。 美緒を助けたい。 でも美緒に伊賀が悪い奴だと伝える術は無い。 美緒を助けるためにはーーー明日の研究発表会を諦めなければならないーーーーー 「ーーーーよく考えろよ… ーーー美緒がその男にーーー好きに弄られて…ボロボロになってもいいわけ? その男レイプが趣味なんだよなーーーー… ……薬飲まされて抵抗できないまま……ソイツのオモチャになるなんて可哀想だろ? ーーーー俺だって本当はこんな事したく無いぜ? …可愛い美緒を思えばお前もーーーーー」
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加