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「ーーーーコレ、話なんだ」
津田先生はいつの間に私の横に来ていたのか、ボイスメモを止めてニッコリと笑った。
怖くて、声が出ないーーーー
この人ーーーーーー
「ーーーーーッ!!!」
先生は私の身体に後ろから手を回し、私の胸をブラウスの上から掴んだ。
助けてってそう叫びたいのにーーー
ーーーー恐怖が私の喉を締めるーーーー
声もーーー出せない程にーーーー
「ーーーずっと見てたんだよ湯川の事…
白い肌も黒い髪もーーー真っ黒い瞳もーーー
人形みたいに綺麗だなって……ずっと思ってたよーーー」
うなじに触れる、先生の唇。
生々しい息遣いに、鳥肌が立った。
「ーーーー外階段の下で一服しててさ……
…たまたま録音出来たんだーーーコレーーーー
ーーー伊賀ね、京帝大で1番の研究者になりたいんだって。
自分を女手一つで育ててくれたーーー…母親への恩返しの為にーーーー
でも伊賀の上には常に青木がいるーーー
俺は伊賀に教えてやったんだよーーーー
『青木澪がいる限り、キミは1番にはなれない。青木のあの頭は持って生まれた才能だーーー努力しても……追いつけるレベルじゃない』
ってねーーーー」
津田先生の唇が、はっきりと私のうなじにあてがわれる。
抵抗しようとすると、先生は手慣れた手つきで私の手を押さえ込んで、嫌がる私の様子を楽しむような、嬉しそうな顔をした。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
翔也はーーー澪がーーー邪魔だったんだ。
「だからさ、提案してやったんだ。
『青木はキミの幼馴染を溺愛してる。
彼女の為なら全部捨ててーーーー研究も、この大学も、キッパリ辞めてしまえる程に。
今彼女に心酔してる青木の気持ちを利用すればーーー今度の研究発表会くらいは辞退させられるかもしれないよ』
ってねーーーーー…
ーーーそしたら伊賀はこの録音の通りに青木を脅してーーー結果逆情した青木に階段から突き落とされたーーーー
ーーーーバカな男だよなーーー
ーーーああ、そうそう…
伊賀が青木に見せた薬はーーー
ただのサプリメントだったよーーーー
伊賀があんな俳優みたいな演技が出来るなんてーーーやっぱり器用だよな…!
青木とはーーー違ってーーーーー」
ブラウスの上から、先生は私の胸を揉み始める。
先生は私の味を確かめるかのように、唇と舌も使って、私のうなじや耳をわざとらしく音を立てて舐めたり吸ったりしている。
それってーーー翔也はーーーーーー
「ーーーー…先生が殺したのね……」
私は震える声で、やっとそう口にした。
「ーーーーー?
ーーーー録音の内容忘れちゃった…?
伊賀を突き落としたのは青木ーーー
…もう一回、コレ聞かせてあげようか?」
私は胸を掴む先生の手を掴み、先生を睨みつけた。
許せないーーーーー
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