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「ーーー翔也を…利用したんでしょ…? ーーー翔也が……お母さんが希望してたこの大学と…1番って称号に拘るのを知っててーーーー… 先生は翔也を利用してーーーー澪の事も翔也の事もーーーこの大学から消そうとしたんですよねーーーー? じゃあ先生がーーー翔也を殺したも同然ーーーー先生が澪にーーー翔也を殺させたーーーーー」 先生の腕を掴んだ私の手を、先生は振り払った。 「被害妄想はやめろよ湯川… ーーー実際に卑劣な真似をしたのは伊賀だしーーーーその伊賀に腹を立てて伊賀を突き落としたのは青木じゃないか」 先生は私を見下ろして、面白そうに笑って言った。 先生は邪魔だったんだ。 優秀な澪も、翔也もーーーーー きっといつか自分より優秀になってーーー自分の地位や名誉を脅かすからーーーー 許せないーーーー… こんなのーーー間違ってるーーーー コレはーーーー間違いなく犯罪。 ーーーー警察にーーー言わなきゃーーーー 「いいの? ーーーー青木が、警察に捕まっても?」 耳元で先生の低い声がして、私は捩った身体の動きを止めてしまう。 「ーーーー俺が証言したんだよ…? ーーー伊賀が……階段から足を滑らせるの見たってーーーー どうしよっかなーーーー… 余計な事話して…挙句大人しくしてくれないならーーーー 証言取り消してコレ、警察に提出するけど」 私は黙ったまま先生の目を見た。 先生の目は笑っている。 まるで私がどうするかーーー見抜いているかのようにーーーー 「なぁ……折角湯川を助けようとしたのにーーーー青木が刑務所に入って…人生棒に振るうのは可哀想だろ……? ーーーー湯川…取引しないか……? 俺の条件飲んだらーーーー… ーーー一…コレ警察に言わないでやるよ…?」 私を抑える先生の腕に力が入る。 条件を飲んで澪を庇うなんてしては行けない事だと分かってるーーーー なのにーーーーーーー 「ーーー……条件……?」 私は惨めにも、震える声で尋ねる。 先生の口元が三日月型に歪んだ。 なんで聞いてしまったんだろう。 そう思いながら、私は先生の答えを待つ。 「ーーー湯川の人生…俺に売ってよーーー… 青木と別れてーーーー …卒業と同時に俺と結婚して俺のモノになったらーーーー 黙っててやるよーーーー ーーー青木が伊賀を殺したーーーー ーーー伊賀がーーー青木を脅迫した挙句にーーーー青木に殺されたって事」 私はその条件を頭で繰り返す。 人生をーーーこの男に売るーーーーー それは首を縦に振るのに、相当な勇気がいる条件だった。 そして私は、この瞬間に気づく。 先生が欲しかったのは翔也や澪に脅かされる未来の名誉でも地位でも無くてーーーー 私なんだという事にーーーー 「ーーーーーッ!!!…あッ……!!!」 迷ってる私のブラウスを、先生は引き千切った。 ボタンが飛び、テーブルに当たって小さい音を立てる。 「ーーーー悪い話じゃないだろーーー? いつも綺麗な服着させてやるしーーー 毎日美味しいもの食べさせてやるよーーー… 働かなくたっていいしーーー 爪も髪も綺麗にさせてやるーーーー それに毎日こうやってーーーーーー」 先生の手が、私の胸に直接触れる。 恐怖で、身体が跳ね、私は小さい悲鳴をあげた。
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