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「ーーーーじゃあ…そろそろオープンキャンパス開始だからーーー… 2人とも移動してーーーー転ばないよう気をつけてーーーー あと、要。 サイエンさん見習って、あんま喋んないで… その着ぐるみ暑いしーーー喋ってるだけで体力消耗するからーーーお前そのペースだと…後で絶対動けなくなるから」 要は俺の言葉に、ガックリと項垂れてから、静かになった。 サイエンはそんな要に、親指を立ててグーサインを出して見せた。 「ガンバ!」って事らしい。 「ーーーーなんかコイツムカつくな…」 小声で呟いた要を無視して、サイエンはスタスタと移動を始める。 要も仕方なくスーとして後ろをついていく。 俺が大学に入ってからーーーー18回目のオープンキャンパスーーーー いつも以上に盛り上がってくれたらいいなと思いつつ、俺は工学部の棟にあるホールへ向かった。 ーーーーーーーーーーー オープンキャンパスは大賑わいだった。 要は否定したが、予想外にサイエンとスーも人気を博し、一緒に写真を撮ってとお願いされる事もあった。 要は度々悪態をつきながらもよく動き、持ち前のポテンシャルの高さで、きちんと可愛らしいスーになりきっていた。 「あ!!!葛西!!!」 着ぐるみを脱いでもらい、そろそろ要に休憩を取らせようと思った矢先、後ろから声をかけられた。 「ーーー!!!ーーー山本さん!!! それに湯川さん!レオ君も!!! 来てくれたんですね!!」 『湯川さん…!?!?』 要がスーの中で上げた声を完全にスルーして、俺は山本さんと湯川さんの方へ足を進める。 「レオが行くってのは聞いてたんだけどさ! 美緒が葛西がなんか面白い事やるみたいって言うから着いてきちゃった!!!」 山本さんは笑ってから、湯川さんより頭2つ分大きくなったレオ君の肩をポンと叩いた。 レオ君は恥ずかしそうに俺に会釈し、なんとなく微笑んで見せた。 この少し人見知りの感じーーーいつも思うが、青木先生にそっくりだ。 「そっか…レオ君ももう高校生だもんなぁ… 俺も歳とるワケですよね……」 俺が言うと湯川さんと山本さんは顔見合わせて笑った。 「それ私達の前で言う!? 葛西なんてまだ36とかでしょ!? 私と美緒なんてもう直ぐアラフィフだからね!」 湯川さんにも「そうだよ!」と声をあげて笑われ、俺は手を胸の前に合わせて「ごめんなさい」のポーズを取る。 湯川さんは長かった髪を鎖骨くらいまで切ってーーー最近ずっと柔らかそうな栗色の髪にパーマをかけている。 白髪が目立ってきてーーー黒い髪だと余計に浮いて目立ってしまうからだそうだ。 「そう言えば紺田君も今日ーーー…大学に来るって言ってたけどーーー葛西君見かけた?」 湯川さんに尋ねられた俺はなんと答えるか迷いつつ、スーに視線をやった。 スーは湯川さんの息子のレオ君にキュンポーズを取って見せては、苦笑いされていた。 ーーーー…流石に可哀想かな…アレが要って言うのも……
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