カプチーノ

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目の前に置かれているのは何年も前からあるという、この結婚式場の歴史を感じさせるような飴色のドレッサー。 大きな鏡の中に映っているのは、プロのメイクさんにガッツリ施してもらった自分の顔。 その頭に載ったティアラ、そして纏う白いドレスのあちこちに散りばめられているのは本物のダイヤだ。 それを見て遠い目をした。 まさか、ダイヤにお目にかかれる日が来るとは思わなかったな。 私、今日の主役のはずだけど完全にティアラとドレスに負けてない?大丈夫? 気持ちを落ち着かせるために、息を吐いて鏡から視線を外す。 それから朝から何度も確認している、タイムスケジュールが書かれた進行表を眺めた。 でも、その内容は緊張しすぎているためか全く頭に入ってこない。 進行表の一番下に印字されているのは、芸能人がよく挙式を上げている超有名なホテルの名前。それを見たらさらに緊張感が増してきた。   ……こうなったらお式が始まるギリギリまで『仁科隆聖』先生の本でも読むか!うん、緊張を解きほぐすためには仕方がない!!
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