673人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
「まひるちゃんには『常闇の街』の『鏑木』、とでも言ったほうがいいのかな……あの人は小説家の蜷川大樹で、
本名は望月泰助。認めたくないけど俺の祖父だ」
「えっ!!?」
サラッと告げられた、とんでもない情報に素っ頓狂な声が出てしまう。
蜷川大樹って、“日本文学の最高峰”と言われている偉大な小説家だよ。
それがあのおじいさんって、本当なの!?
「多分知らないと思うからもう一つ言っておくけど、まひるちゃんが大好きな『仁科隆聖』はね、本当は望月聖っていう女性なんだ。
『常闇の街』のあのシーンは『僕』と『鏑木』の美しい友情話なんかじゃない。婆さんと爺さんの馴れ初めを書いた話なんだ」
「へっ?」
「……ウチの亡くなった祖母は数年前に亡くなっているんだけどね、彼女の才能に惚れ込んだ爺さんに全部の逃げ場を封じられて結婚させられたんだ。本当ひどい話だよね」
大ファンの私でさえ知らなかった新事実が次から次へと出てくるものだから、混乱せざるを得ない。
「えっ、ちょっと待ってください!!
情報量が多くて追いつかない!」
最初のコメントを投稿しよう!