赤い子供

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赤い子供

翌日、大学に行くと杉本は来ていなかった。 昨日の事もあり気になった俺は、杉本と共通の知人でもある高山を見つけ聞いてみたが知らないという事だった。 携帯にも出ないし一体どうしたというのか。大学の帰りに自宅にも寄ってみたが留守だった。 仕方なく俺はバイトに向かった。 夜遅くハードなバイトを終え家に帰ると直ぐに出迎えてくれたのはアカだった。 ~お帰り団子にぃ~ 「ああ」 ~どうしたの?何か元気ないね。お友達と喧嘩でもしたの?~ 「いや、喧嘩はしてない・・・と思う」 ~もしね、お友達と喧嘩したらちゃんとごめんねって言わないと駄目だよ。じゃないとずっとそのままになっちゃうから~ 「・・明日の事だが、どうやって供養するんだ?」 ~簡単だよ。別に用意する物もないし。骨だけあれば大丈夫~ 「骨だけって・・誰がやるんだ?アカか?」 ~そ、私がやる。団子にぃはソレを見ててくれてればいいの~ 「見てるって・・・」 一体この子供は何を考えているのか。 「そうだ。お前日下部さんを知ってるか?」 ~日下部?~ 「そう。このアパートの大家さんなんだが、お前と男の子が写った写真を持ってたんだ」 ~知ってるも何も、日下部って言うのは私の苗字だよ~ 「へ?」 予想だにしていなかった答えに、俺は変な声を出してしまった。 「アカの苗字?」 そうだった。アカというのは、周りの人達がそう呼んでいるというだけで名前ではないと言っていた事を思い出した。でもまさかアカの苗字だったとは。 「お前日下部って言うのか。じゃあ名前は?」 ~・・教えない~ 「なんで」 ~お母さんが、人に名前を教えちゃいけないって言ってたから~ 「まぁそれは分かるが、俺は不審者じゃない。こうやって何度もアカと話して骨の供養も手伝ってる」 ~うん。でも教えない~ 「・・・分かったよ。でもさ、何で周りの人達はお前の事アカって呼ぶんだ?」 ~多分、皆と違うからじゃないかな~ アカは少し悲しそうな表情をして言った。 「みんなと違う?何が?」 ~アカって言うのは「赤い子供」って言う意味なんだって~ 「赤い子供・・・よく分からないな」 ~赤い子供って言うのはね・・・~ アカが説明しようとしている時、インターフォンが鳴った。 「え?こんな時間に誰だ?」 時計を見ると十時を回っている。 俺はアカに直ぐに戻ると言いながら玄関の方へ向かった。
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