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タイムリミット
~お帰り。お友達?~
段ボールに座り足をぶらつかせ待ちくたびれたようにアカが聞いてきた。
「いや・・・近所の人だった」
~ふ~ん~
自分で聞いときながら興味がないのかそれ以上聞いてこない。
俺はベッドに座りこれまでの事を整理してみた。
(元々この部屋は前居住者が自殺した事故物件だ。そう・・それはいい。分かっていた事だ。そこに例外が出てきた。アカだ。まゆばという場所に入ったアカが、何故俺のクローゼットに現れたのか。過去から来た子供だと思った事もあった。でもそんな事現実にあり得るのか?もし本当にアカが過去から来た子供だとしたら。それは偶然だったのか。それとも意図的に来たのか。もし意図的に来たとしたら何のために?)
~骨を見つけて欲しい~
(そうだ。目的がある。骨を見つけるという事。供養したいからという理由だが、本当にそうだろうか。瞳はその事について何か知っているのではないか。だから俺に逃げた方がいいと言ってきているのでは・・・)
~今日中に出た方がいい~
瞳の言葉が蘇る。
(今日中・・)
俺は時計を見る。11時15分。明日になるまで45分しかない。
(明日になったら何もかも終わるとまで言っていた。何が終わるのか・・)
頭を抱え目をつぶり考え込む。
~団子にぃどうしたの?頭痛いの?~
アカの心配する声が聞こえる。
~ねぇ大丈夫?~
大丈夫じゃない。訳の分からない事ばかりで頭が狂いそうだ。実際本当に頭が痛くなってきた。
~お薬飲んだ方がいいんじゃない?~
薬で治るならとっくに飲んでる。
~明日、大切な事が待ってるんだから。早く寝た方がいいよ~
明日・・・そうだ。明日は骨の供養がある。供養?・・・俺が?いや、アカがやるんだ。俺は側で見てればいいらしい。見てる?何を?
俺はゆっくりと目を開けベッドから立ち上がると、アカの方に顔を向けた。
「なぁアカ」
~なぁに?~
何処にでもいる子供。あどけない顔をした子供。
「・・・・お前・・何者なんだ?」
11時25分。明日まで35分。
~何者?私は私だよ?どうしたの団子にぃ。なんかおかしいよ?~
(ああ。おかしい。確かにおかしいのかもしれない)
「明日。骨をどうするつもりだ?」
~ん~それは明日になればわかるよ~
「・・ここに住んでた男はどうして死んだんだ?」
~え?ここに住んでた男って・・団子にぃが来る前にいた人の事?あのおじさんはね、失敗しちゃったんだ~
「失敗・・・」
~そう。失敗。私の言う通りにしなかったから失敗しちゃったの~
「・・・俺も失敗したら死ぬのか?」
~う~ん・・多分。でも大丈夫だよ。何があっても口を開けなければあのおじさんのようにはならない~
「口を開けなければ?俺は見てるだけだろ?口を開ける必要がない」
~うん、でもね。開けちゃうんだ~
「どうして」
~思い出すからじゃない?封印していたモノを~
「封印していたモノ?」
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