喰われる

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喰われる

「ひ・・・い・・」 喉に蓋がされたようにうまく言葉が出ない。 ~団子にぃは意外に早く私と馴染んでくれたから、早く済ませられそう。前のお兄ちゃんは、お札やらお祈りやらして邪魔して来たの。大人しくしていれば結婚式だって出来たのに~ 「・・け・・結婚・・」 ~うん。あのお兄ちゃんは結婚式をするって喜んでたんだ。だから私言ったの。私も結婚式をしてみたいからお願い聞いてくれる?って。女の子にとって結婚式は夢だもの。でもあのお兄ちゃんは私のお願い聞いてくれなかった・・・朝から夜までずっとお経を流すし、お札も沢山部屋に貼る。私ね、お経とお札って大っ嫌いなんだ。力が入らなくなっちゃう。だから泣き真似したの。「もうやめて」「この部屋から出るから」って。そしたらあのお兄ちゃん、フラフラしながら近くに来たんだ。だから~ そこまで話したアカは先程より更に口を横に広げ嫌らしく笑う。 「殺したのか・・・」 ~う~ん。私が殺したって言うか、自分から首に紐巻いてたよ。もう疲れたって言って~ 精神が壊れてしまったのだろうか。挙式を控え、これから家庭を持ち新たな人生を歩もうとしている人が「疲れた」と言って自らの命を絶つほど、アカは恐ろしい子供だという事なのか。 ~団子にぃは大丈夫そうだね~ そう言って、近くにあった新聞紙にくるまれた骨をばらばらと取り出すと、上を向き口を大きく開け次々と放り込んでいく。 「何を・・してるんだ・・・」 ~身体づくりだよ。骨は必要だしね。さてと、お喋りはここまで。いい?ここからは絶対口を開けちゃいけないよ~ そう言ったアカは、もう俺の目の前にまで来ていた。 両方の二の腕にある浮き出た子供の顔が、くしゃりくしゃりと気味の悪い動きをしながら泣いている。声は聞こえないが俺の脳内に泣き声が響き渡っている様な気がする。 ~じゃ、いただきます~ 次の瞬間、ぼきぼきという嫌な音をたてアカの口が大きく開き始めた。口の端からは、血が滲み垂れている。 「?!え・・?!」 奥の歯が隅々まで見渡せるぐらい開いた口。生臭いような腐った匂いが俺の全身を包み込む。 喰われる・・・ そう思った瞬間、アカの大きな口が俺の頭の上から覆いかぶさり視界が暗くなった。
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