2人が本棚に入れています
本棚に追加
自殺
死んでみよう。そう思った僕は、机の上に置かれた風邪薬を手にとった。
一回二錠。それが適切な服用量。置いてあるのは二錠。だからこれだけではとても死ねない。階下に降りて薬箱を探る。そこには風邪薬や絆創膏、痛み止めなんかが入っている。とりあえず風邪薬と痛み止めの箱を取り出す。そして水の入ったペットボトルを探して冷蔵庫を開けると、ビールの缶が目に入った。薬はお酒で飲んではいけないのは僕も知っている。何がどういけないのかは知らないけれど、体に良くないからだと、それは常識の範囲内の知識。だったら死ぬにはちょうどいいんじゃないのかな。
ビールと薬を手に部屋に戻り、ベッドに座る。プチプチとアルミを押して錠剤を全て取り出すと、いよいよ缶に手をかけた。
プシュッと音を立てて開いた缶は途端に苦味のある匂いを辺りに広げる。この音と匂いを楽しむ大人に僕はもうならないんだよなと思いながら、錠剤を口に含みそっと缶に口を付けた。
……苦っ。
これが美味しいなんて、大人って変なの。
こんなのとても飲めやしないから、とりあえず鼻をつまんで一気に流し込んだ。
ぷつぷつと錠剤が喉を通る感覚がする。薬のせいかアルコールのせいか、頭がくらくらふわふわする。まぶたが重くなったような気がして、そうしたら次は眠気がやってきた。だけど眠ってしまう前にと、残った錠剤を全て掴んで口に放り込み、ビールを無心で飲み続けた。
そして次に訪れたのは猛烈な眠気だった。とうとう僕はそれに逆らわずに目を閉じ、暗闇の中へと落ちていった。
最初のコメントを投稿しよう!