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言った事は嘘じゃなく、僕は生まれて初めて夜明けまでぐっすりと眠る事が出来た。夜中に飛び起きたり、蹴られて起こされたりすることが無い夜なんて初めてだった。 「じゃご飯にしよう。和永はあんまり食事の量が多くなさそうだから徐々に増やしていくんだよ。」 昨夜滋養のあるスープを飲んだからだろうか。今日は身体が軽く感じる。 僕は自分の力でゆっくりと身体を起こすと、ほうっと息を吐いた。 何とか大丈夫そうだ。 「あ、あの。どうもありがとうございます。こんなに良くしていただいて…。」 僕が起き上がる事でクレドはバランスを取るようにちょんちょんと跳ねながら枕の辺りに飛んでいった。 「あ、ご、ごめんねクレド。だ、大丈夫かな。」 焦って手を差し伸べようとした僕を制して道管さんは小さく口笛を吹いた。 すぐさまクレドは飛び立って道管さんの肩に停まると首を傾げながらまたつぶらな瞳で僕を見ていた。 「大丈夫だよ、クレドは賢いから。でも大きな音とか強い力なんかは得意じゃないからそれは気を付けてあげて。」 道管さんの言葉に頷く。それは僕も苦手なものだから大丈夫。クレドと同じものが苦手だなんて親近感がわいて益々可愛い。 僕はにっこりと笑うと今度は道管さんへ向かって頭を下げた。 「あの、本当にありがとうございました。僕を助けていただいて。道管さんに助けられなかったら僕はきっとあのまま死んでいたと思います。」 「まぁね、確かに和永はあの時低体温症になりかかっていたぐらいだからね。あのままあの場所にいたら、朝にはきっと死んでいただろうね。」 道管さんの言葉にゾッとする。生きたいという気持ちはなかったはずなのに、やっぱり死ぬのは怖かったようだ。
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