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エピローグ
「――――はい、先生、これからもよろしくお願いします。」
「いつでも訪ねてきてもらっていいからね。彼女の様子は定期的に連絡するけれど、きっと君の事も待ってる。」
「はい…。」
失礼します、とパタンとドアを閉じた。
僕と道管さんは華寿子さんが入院している病院へ来ていた。
アパートも引き払い、恭子さんやオーナー達への挨拶も済ませた後だったから少々遅くなってしまったけれど病院の先生は快く僕たちを迎えてくれた。
僕がピアニストの道管進と連れ立ってやってきた事でお店はちょっとしたパニックになった。
けれど、そこはやっぱり頼れる恭子さんがその場を仕切ってくれて大事にはならないで済んだ。
お世話になったお礼を言うと、恭子さんはずっと力になれなくてごめん、と謝ってくれた。
本当はもっと昔から僕の事を助けたかった。それでも華寿子さんとの関係や安井の存在が手を差し伸べさせる事を躊躇させ、結果的に華寿子さんも傷つけてしまった、と言っていた。
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