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もちろん以前の華寿子さんを知っているわけでもなく、華寿子さん自身も道管さんの事を知らないけれど2人はそれぞれの”和永”の話で盛り上がり、今では仲の良い関係に落ち着いているらしい。
華寿子さんの入院費を払ってくれていたのも道管さんだと判明した。
僕の母ならば自分にとっても大切な家族だ、とまで言ってくれた道管さんに僕は何度も何度もお礼を言った。
「ほら、もう泣き止んで。華寿子さんが心配するよ。」
「だって…道管さんが泣かせるような事を言うから。」
「そんなつもりはなかったんだけどな。」
道管さんは華寿子さんの病室の前で僕の涙を拭った。
以前ここを訪れた時は、華寿子さんの”和永”と対面することが怖くて逃げだしてしまったけれど、道管さんが一緒なら大丈夫。
冷静に華寿子さんに会うことが出来る、と思った。
「大丈夫か?」
「大丈夫…。道管さんがいてくれるから。」
キュッと握った道管さんの指先は僕と同じぐらいの強さで握り返してくれた。
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