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「……僕に荷物はありません。僕の物は何ひとつありません。」 あの場所を出てきた時に僕は身一つで出てきた。着ていた服も履いていた靴も、本当は何ひとつ僕の物ではなかった。 僕は何も持っていない。僕の物は何もない。 項垂れたまま無言でいた僕に道管さんは思いもかけない言葉を言った。 「じゃあ君に、特別なものをあげる。」 「特別…ですか?」 「ああ、特別だよ。君には僕の指先だけあげよう。」 「指先?」 「そう、『指先だけあげる』よ。」 ※ 作中、18歳=成人ではないと主人公が言っておりますが、作品の都合上そのまま書き続けさせていただきます。 決して書き間違いではありませんのでご了承願います。
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