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予想は当たっていた。
病院につくなり看護師さんに彼女の部屋を聞き、病室に駆け込むと彼女はベッドの上で眠っていた。
穏やかな表情で人工呼吸器を当てられながらも確かに息をしていた。
「は、はは……」
思わずへたり込む。
目の前に本当の彼女がいる。
本物の彼女がいる。
そうとわかると思わず笑みがこぼれた。
嬉しくてたまらなかった。
「本当に……私がいる……」
肩越しから彼女が信じられないといった感じで震えた声をあげている。
「幽霊さん、あなたは死んでなんかいなかったんだ。生きてたんだ」
「だから天国への行き方がわからなかったんですね」
「よかった。本当によかった」
「ありがとうございます……。あなたにはなんとお礼を言ったらいいか……」
「お礼はいらないから。さあ、元の身体に」
「はい」
ふっと身体が軽くなった。
僕の身体から離れたようだ。
そしてスーッと目の前で眠る彼女の身体に幽霊さんが入り込むのが見えた。
それはまるで水の中に潜るかのように自然な入り方だった。
直後、ベッドの上で眠っている彼女の目がうっすらと開いた。
ピクっと指先が動くのがわかった。
「幽霊さん」
声をかけると彼女は僕に目線を移し、人工呼吸器の中でニッコリと笑った。
「はい、もう幽霊ではありません」
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