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その日以降、僕は何度も彼女のもとを訪れて彼女のしたかったこと、やり残したことを巡った。
遠出もしたり、日付けが変わるまで一緒にいて夜景を見たりもした。
この時から僕の心の中でいろいろと何かが芽生え始めた。
彼女と一緒にいたい。
彼女のそばにずっといてあげたい。
そう思うようになった。
たとえ相手が幽霊であっても構わなかった。
彼女が喜ぶと僕も嬉しく、彼女が悲しむと僕も落ち込んだ。
「おはよう、今日はどこに行きたいですか?」
「おはようございます。今日はですねー」
こんなやりとりが幸せだった。
ずっと続いて欲しかった。
でも相手は実体のない存在。
どんなに僕が願っても一緒になることなど不可能だ。
それがとても悲しかった。
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