1月2日の誓い

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 電車が発車して、窓越しに小さくなっていく貴之の姿を目にした時、連絡先を聞かなかった事を強く後悔した。でも、それから二日後、神様はチャンスをくれた。職場の海浜幕張で貴之と再会したのだ。  貴之は当たり前のような顔をしてオフィスビルの一階に入ってるコンビニのレジに並んでいた。考えるよりも先に体が動いて、スーツ越しの貴之の腕を掴んでた。  偶然にもお互いの会社が同じオフィスビルに入っている事をその時知った。  それから週五日で貴之に会うようになり、強く惹かれていった。  好きだと打ち明けたのも、結婚して欲しいとプロポーズしたのも私からだった。私の方が一緒にいたい気持ちは強い。それは四十二歳になった今も変わらない。  けれども、私たちは別れた方がいい。私は貴之に当たり前の幸せをあげられないから。
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