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あの事件
迎えた2015年、関東のトップジョッキーを新たにゴールドシップのパートナーとして迎え入れる。
これまでの「何とかゴールドシップを制御しよう」という乗り方から「敢えて好きにさせてなるようになれスタイル」が見事にハマり、ゴールドシップは見事にG1レースである天皇賞を勝利した。
ニュースタイルを手に入れたゴールドシップは次に春のグランプリレース宝塚記念に出走する。
実はゴールドシップが唯一勝利した2013年2014年のG1レースも宝塚記念なのである。
ゴールドシップは宝塚記念が大得意、そして今年勝てば前人未到の3連覇。
おまけに気性の荒さという問題もトップジョッキーが見事に利用してくれる。
まともに走れば敵などいないのだ!
2015年6月28日。
最強のゴールドシップが見れると期待して、阪神仁川競馬場に6万8千人が詰めかけた。
ゴールドシップはいつも通りの俺様感を前面に押し出し、雄弁と競馬場に登場する。
6万8千人の視線も歓声も彼にはどこ吹く風なのであろう。
その傍らにはやはり今浪さんの姿があった。
「G1レースを複数回勝てるような馬の担当になれるなんて私はなんて幸せ者なのだ」
と今浪さんはいつもゴールドシップに感謝の気持ちを伝えていた。
馬にレースとか、お金の概念が分かる訳が無い。
しかし、厩務員を喜ばせようと頑張るサラブレッドの逸話は百や千にのぼる。
馬は人間を幸せにしてくれる動物なのだ。
「人が沢山いる所で走ったら、今浪さんが喜ぶんだよなあ」
ぐらいは思っていたのかもしれない。
今浪さんとファンの期待を一身に背負ったゴールドシップ。
さあ!いよいよ!第56回、宝塚記念のゲートが開いたっ!!!
・・・と同時に後ろ足二本で立ち上がるゴールドシップ、120億円分の馬券は1秒で紙屑になった。
ー完ー
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