10月

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10月

  わたしはね魔法使いになったからメイクひとつで可愛くなれるの   朝起きて鏡に向かって「かわいいよ」私が前を向くルーティーン   悲しみを悲しみと表現すると量産アクセになるってホント   「お茶買いにコンビニ行くけど何かいる?」「プリン食べたい!」これを求めて   足元が脆いから今ここにいる僕は泥泥してて綺麗だ   「君は風邪ひいたらそっとして欲しいタイプでしょ」って冷えピタを貼る   眠れないダブルベッドに独りきり天使が君を訪ねる毎夜   気づいたら君のお気に入りのお菓子レジを通して今帰宅中   慣れるほど暖かかった右隣今年は風が過ぎていくだけ   「死ぬ前にディズニー行こう」君は言うベランダから身を乗り出す僕に   照れるから繋がなかった左手が手袋を着けててもかじかむ   五七五七七に見いだすは其れ我が日の本の人の営み   死にたいと思う理由を「そんなこと」で片付けるな,POISON歌うぞ?   「どうせなら走馬灯は楽しいものにしようね」と言い出したのは君   僕が今日絶対食べたいオムライス我儘だけど,君のがいいな   記念日に何が欲しいと訊かれたらいつもと同じハグと答える   君といるときのわたしがかわいくてすきです文句言わせませんよ   金木犀薫る夕闇こだまする5センチ先の君の笑い声   『「人」の「為」それが「偽」りたる所以?「真」では君を救えないから.』   君がため目元で光る天の河穏やかなまま夏の夜まで   今日の鬱絵の具で空に殴ったらお天道様が晴らしてくれる   「筆をとれ.描き続けよ」岸渡る前にあなたにもらった形見   「もしかして僕『が』ドッペルゲンガーか?」そんな不安を感じたことある?   「おいしいものを食べてるの?」午前2時君の夢の中で眠る僕   白乙女ひと枝失敬していたら花泥棒と呼ばれるかしら   私はねガラスの置物じゃないから透かしても映るのは君だけ   君はこのまま新月でいいんだよ僕の前だけで満月でいて   神さまの涙は雨か流星か星型の飴ならいいのにね   手が届かないお星さまが今僕を見てくれてたらとか願う夜   お日様が誰か泳いだ隙間からまた明日ねと背中を向ける   生まれ落ち踏まれ潰され罵られ他と同じく育つ銀杏   気まぐれな君と甘えたな僕とでこたつで丸くなりたい気分   はすたおるわれは花盗恥じらいの今様衣飛沫をあげる   紙袋とチュールもいいけど撫でてくれたら懐いてあげてもいいよ   暗い部屋僕を部屋干し足元に相手のいない交換日記   咽ぶ君「ジンおかわりで!」飲みすぎよ,俺に抱きつくな人の気も知らず   暖に飢え店の出口で待つわたしの頬を撫でる君は秋風   人混みも湯船も酔うのねえすすき独りじゃなくて一人にさせて   18に満たぬある夜父親のタバコ2箱すっていた夜   前世キスされたところがほくろならほくろまみれに来世はなりたい   ぐるぐるとちょうちょがまわる それだけだ.しばらく君の姿を見ない   オリオン座かろうじてそうわかるのはリゲルと微かな星が3つ   CDのトラックにあるインストを聞くと自分も作曲家気分   ばら組でおえかきしてたぼくの夢燃えていたんだ 燃えていたんだ   変わらない君の微笑み潰れてる2個のたい焼き止む電子音   詩だろうかフリスク食べて美味いねと言い合う日々は幻だった   抹茶ラテみたく世界をかき混ぜて溺れてしまえ星の光に   11時ぶどうジュース含みつつ飲み込めないでいる 苦味だけ   「しにたい」がダストボックスから溢れ捨てきれぬ今日もチョコを齧る   1粒のハート欲しさに好きだとか量産してみる どうでも「いいね!」   アイシャドウよし,チークよし,ルージュよし,お気に入りの服で君を待つ   いたずらかお菓子くれるか,どうする?まあ,お菓子くれてもいたずらするけど
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