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§3 精神的苦痛
夏休みの終りに、汐梨と花恋は商店街のファミレスに来ていた。向かい合ってドリンクを飲みながら、
「花恋、何か元気がないね!どうしたの?」と汐梨が心配そうに訊いた。
「うん、私、今、部活に行ってないんだ。マネージャー、辞めようかと思って」
「それって、五十嵐先輩とうまく行ってないってこと?」
「そうだね。正式に別れた訳ではないんだけど、ずっと無視されてる!」と花恋は泣きそうになりながら答えたが、3年生に凌辱された事は言い出せずにいた。
「ひどい!でも、うちの学校、1年生の内は部活を辞められないよね」と汐梨が言うと、花恋は黙ってしまった。気まずい雰囲気に耐えかねた汐梨は、恥を忍んで弓道部の合宿での出来事を話した。
「夜中に寝てたら、後ろから抱き着かれて、おっぱいを触られちゃった!」と笑いながら言う汐梨に、
「えー?弓道部でも、そんな事があるの?ラグビー部だけだと思ってた」と花恋が反応を示した。
「と言っても、女の先輩にだけどね!意外と気持ちが良いもんだね」と汐梨が舌を出すと、
「それって、レズじゃん!汐梨はそっち系なの?まあ、どっちでも良いけどね」と投げやりだった。花恋は汐梨が漏らした「ラグビー部だけだと思った」という言葉に引っ掛かっていた。
「そう言えば、先輩から聞いたんだけど、ラグビー部の2年のマネージャーの人、やばいらしいね!」
「えっ、やばいってどういう事?何か、噂されてるの?」と花恋の表情が変わった。
「うん、確かに噂だけど、男子部員とやりまくってるって!それって、誰とでもエッチしてるって事だよね」と汐梨が初心を装って言うと、花恋の顔から血の気が引いていた。
2学期が始まり、花恋はラグビー部の夕花里に呼び出されていた。
「霧山はずっと部活に来ないけど、どういうつもり?五十嵐に振られたから?」と他人事のように言われ、
「先輩ですよね!私を部室に行くように仕向けたのは。そこで何があったのか、すべて知ってるんでしょ」と花恋は、いら立ちを抑え切れずに言った。すると夕花里は開き直って、
「分かってるなら、いいじゃん!ラグビー部の女子マネージャーは、部員の性処理も仕事の一つなんだよ。だから、五十嵐だけを相手にしているあんたに、きっかけを与えただけだよ」と理不尽な見解を述べた。
「やっと、後継ぎができたと思ったのに、残念だな。五十嵐の小さい物しか知らないあんたには、きっとショックだったんだね。しかも、五十嵐は早漏だから、いい経験だと思いなさい!」
「どうして?星先輩は、柊君ともやったんですか?そんな、ひどい!」と花恋は泣き喚いていた。夕花里は素知らぬ顔をして、他言したら学校中に暴露すると自分の事は棚に上げて脅しをかけた。
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