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§1 不行跡
ラグビー部に入部し、何もできないあたしに親切に接してくれたのが2年生の堀先輩で、たくましい身体に反した優しい顔に魅かれた。
「星は良く働くなぁ!いい嫁さんになるぞ」と中年の親父が言うような科白でも、あたしはうれしかった。あたしの顔は目も鼻も小振りで真っ黒に日焼けし、自分でも炭団のようだと可笑しかった。そんなあたしに堀先輩が掛けた、「かわいいな!」という言葉が嘘でもうれしかった。顔はブスでも、身体だけは他の女子に引けを取らないという自負があり、機会あるごとに先輩に身体でアピールした。
堀先輩は学校の寮であるアパートに住んでいて、そこへ部活帰りに遊びに行くようになった。テレビを見たりゲームをしたり、休みの日には簡単な食事も作るようになった。先輩は女の子に興味がないのか、あたしといても手を出して来る事はなかった。
「先輩、あたしといて楽しいですか?どう思ってるんですか?」
「星は可愛い後輩で、一緒にいて楽しいよ。急にどうしたの?」
「あたしを女の子として見てください。あたし、先輩となら…」と初めに誘い掛けたのは、あたしだった。あたしがもじもじしていると、先輩はようやく気付いてキスをしてくれた。先輩の唇は想像以上に柔らかく、あたしは口を堅く閉じたままファーストキスに陶酔した。
「星は、おれとこうしたかったの?まだ子どもだと思っていたから、驚いたな!」
「あたし、もう子どもじゃないです!先輩のことが好きだから、いろんな事を教えて欲しい」と座ったまま身体を預けた。先輩はあたしの背中をさすり、頭をなでてくれた。
「おれさ、地元の子だけど、彼女がいるんだ!勢いでキスしちゃったけど、ここまでにしよう」
「いや!彼女さんがいても構わない。だから、あたしのことを嫌いにならないで!」と懇願すると、先輩は困った顔をしていた。その日はキスの余韻に酔い痴れながら、泣く泣く帰った。
初めてのキス以来、あたしを避けるような態度を取る堀先輩が妬ましかった。アパートには今迄みたいに気軽に行けず、先輩は夏休みになって部活が休みに入ると静岡に帰郷してしまった。彼女とはどういう関係かは知らないが、久し振りに会って楽しんでいる姿が目に浮かんで割り切れない思いだった。誰でも良いから、こんな状態から救ってほしいと思い、繁華街をぶらついていた。
商店街の灯りが消え始めた頃、父親ぐらいの年のおじさんに声を掛けられて後を付いて行った。行き着いた先は、ラブホテルだった。あたしが入口でためらっていると、その男は強引にあたしの手を引いて目的の部屋に連れ込んだ。逃げようと思えば逃げられたのに、あたしは自棄になっていた。その男はただその事だけが目的のようで、会話らしい会話はしなかったが、
「お前、年はいくつ?こういうの、初めてじゃないんだろ!いくら欲しいの?」と服を脱ぎながら訊いてきた。それからキスを求められ、無理矢理口をこじ開けられて舌を挿入された。口臭に煙草の匂いが混じり、唾液を絡めてきた時には吐きそうになった。服を脱がされて下着だけになると、
「顔は幼いのに、身体は大人だな!おっぱいもきれいだ!男を何人も虜にしてきたんだろ」といやらしさ満開の言葉に、あたしは後悔していた。「帰りたい!」と漏らしたが、それは許されなかった。
下着も全部脱がされて全裸で横たわるあたしの身体を、その男は口と舌で上から下に向かってなめていた。あたしは腕で胸を隠して身体をピンと伸ばして寝ていたが、すぐに腕を除けられ脚を開かれた淫らな格好で愛撫を受けていた。おじさんは時折、「あう!わう!」と奇妙な声を発していた。
「どうだ?気持ち良いのか?お前は、マグロ女なのか?反応しろよ!」と怒りを含んだ声で言われたが、あたしは気持ちが良いどころか、気持ちが悪くて早く終わってほしかった。おじさんの舌があたしの陰部に達した時、思わず「やめて!」と叫んでいた。おじさんはそれを無視して、
「たっぷり蜜が出て、感じてるんだな。若い子の汁は新鮮で、堪らないや」と嫌な音を立てながらすすっていた。そして、敏感な部分をいじられた時には、自分でも信じられないような喘ぎ声が漏れていた。
ひと通りの前戯が終わったようで、その男は私の横にはい上がって来て耳元で、
「今度はお前の番だよ。さあ、なめて、くわえて!」とつぶやいて仰向けになった。あたしは、男の物を見るのも触るのも嫌で見ないようにしていたが、赤黒いグロテスクな物が目に入って震え上がった。
「いやだ!そんな事、できない!」と拒否すると、その男は諦めたようで渋々コンドームを着け始めた。いよいよかと恐いながらも覚悟をして待っていると、股の間に堅い棒のような異物が押し付けられ、強引に入って来るのが分かった。あたしは身体をずらして逃げようとしたがかなわず、無理矢理貫通された。
「狭かったな、やっと入った!そんな顔して、どうした?痛いのか?」と訊かれたが、あたしは苦痛に耐えるのに精いっぱいで声が出なかった。おじさんが腰を動かす度に激痛が走り、二度とセックスなんかするものかと心の中でつぶやいていた。
あたしの初めては高1の夏、見知らぬおじさんに処女を奪われた。終わった後で、
「お前、もしかして初めてだったのか?こんな風に身体を粗末にしたら、駄目だろう!」と説教めいた事を口走っていた。それを聞いたあたしは妙に腹立たしくなって、
「うん、まだ15歳だから」と言ってみた。すると、その男は驚いた風で、
「えー?嘘だろ、15歳?やばいな、それ。犯罪者になるよ。18歳ぐらいかと思ったよ」とぼやいた。18歳でも未成年だから犯罪だよ、とあたしは言いたかったが口にしなかった。
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