§1 強姦同様

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§1 強姦同様

 氷室(ひむろ)雷太(らいた)とは高2で付き合いだして、エッチ寸前までの関係だった。つまり、キスはもちろん、抱き合ったり、触れ合ったり、いわばB(ペッティング)までは進んでいた。ただ、裸を見るのも見られるのも恥ずかしく、ましてや、わたしの大切な所に触れようとする彼の手は受け入れがたかった。そして、当然のように身体を求めてきていたが、ごまかしながら二度三度と先延ばしにしていた。進路が決まって卒業式が終わったらと、迫られて仕方なく約束したが、私自身なかなか覚悟できずにいた。親友の花恋(かれん)に相談すると、 「初体験の相手は本当に好きな人と、心から抱かれたいと思う人とすべきだ」というアドバイスをもらい、その言葉を自分に当てはめて考えた末、雷太がそういう相手ではないと得心した。そして、受験が終わったら別れを切り出そうと心に決めたが、それは自分勝手な決定であって現実はそう甘くはなかった。  その日は第一志望の大学の合格発表があった次の日で、雷太にお祝いをしようと誘われていた。雷太は長野県の中学では柔道部で活躍し、その体格と運動能力の高さを買われてラグビー部にスカウトされた。その部員の半数は他県から来ており、学校が寮として借り上げているアパートに住んでいた。  わたしは受験からの解放感と大学合格の喜びで気が緩み、別れ話を棚に上げて誘われるままに雷太の部屋に来ていた。今無理して別れを告げなくとも、卒業式後は離ればなれになる訳で、それまでごまかして逃げ通そうという都合の良い考えに改めていた。というのも、雷太はラグビーの推薦で長野の大学に進学が決まっており、卒業式が終われば実家に帰る事になっていたからだった。  わたしが部屋に入ると、雷太にいきなり抱き着かれて当たり前のようにキスをされた。そして、敷きっ放しの小汚い布団に寝かされ、雷太の重い身体に組み敷かれて愛撫を受けた。ワンピースが皺になるのを気にしながら、服の上からおっぱいを揉まれていたが、その日はそれだけでは収まらなかった。スカートの中に手を入れ、わたしの大切な部分を強引に触ろうとしてきた。雷太が一線を越えようとしているのは明白で、わたしは身をよじって(あらが)った。 「汐梨、やろうよ!おれもう我慢できないから」と言って、わたしの動きを封じてスカートをめくり上げた。 「いや、だめ!卒業したらするって、約束したじゃん!」という訴えも聞かず、股間をまさぐっていた手が下着を脱がそうとしていた。わたしは押し退()けて逃れようとしたが、鍛えられた身体はびくともしなかった。その間にすでに下着ははぎ取られ、動いたすきに指が谷間を捕えていた。雷太が童貞でないと知ってはいたが、叫ぼうとすれば口を口で塞がれ、巨体で身体を拘束され、その手際の良さに諦めに似た気持ちが生じていた。豹変した雷太に逆らう事はできず、抵抗する力が尽きたわたしは覚悟を強いられた。 「ねえ、分かったから強引にしないで、お願いだから痛くしないで!」と取りすがると、 「そうか!そんなら脱げよ!おれも裸になるから」とやっと拘束が解かれた。そのまま逃げようかと思ったが、その時すでにわたしは観念していた。
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