§2 桃色遊戯

1/1

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ

§2 桃色遊戯

 二学期が始まり、いつものように部活の片付けをしている所に堀先輩がやってきて、 「今日、俺の部屋に来いよ!静岡の土産もあるし、前みたいに遊ぼうぜ」と誘われた。あたしが嫌と言う訳はなく、その日は午前授業で部活も早めに終わり、そそくさと仕事を済ませて先輩の部屋を訪ねた。ところが、そこには堀先輩だけでなく、同じラグビー部の3年生が二人いて愕然(がくぜん)とした。焼きそばを作って皆で食べるつもりだったらしく、あたしが呼ばれた理由が分かった。台所に立って調理をしていると、3人の会話が聞こえてきた。 「堀、静岡の彼女とはどうだった?やったんだろ?」と一人の先輩が訊くと、 「ああ、駄目でした!彼女に彼氏ができて、俺は体よく振られました」と堀先輩が答えていた。あたしは両腕を引いてガッツポーズをし、密かに喜びをかみしめていた。そこへ3年生の女子マネージャーである真凛(まりん)先輩が来て、メンバーは5人になった。  5人でたわいのない会話をしながら焼きそばを食べ終わると、真凛先輩に、 「星は堀のことが、好きなの?堀はどうなの?」と訊かれ、あたしと堀先輩ははにかんでいた。 「キスした事、あるんだろ?今がチャンスだ!星、俺たちが見ててやるから、キスしてみろ!」ともう一人の先輩が、ぶしつけな注文をしてきた。あたしが拒否すると、堀先輩も同じように拒んでくれて何とかその場を収める事ができた。雲行きが怪しくなってきたので、あたしが帰ると言い出すと、 「おいおい、帰るなよ!これからが楽しんだから。5人で王様ゲームをしようぜ!」と引き留められた。ラグビー部の先輩には絶対服従で、逆らえずにその場に残る事になった。飲み物が用意され口にすると、口当たりが良い甘いカクテルのようで、アルコールが含まれているのが分かった。  王様ゲームの始めは、変顔とか一発ギャグなどといった罪のないネタで盛り上がった。しかし、欲求のかたまりである高校生の男女が集まってそれで済む訳がなく、じわじわと下ネタに向かって行った。 「よし、俺が王様!3番と4番は、今までの経験人数を暴露せよ!」と振られ、4番だったのが真凛先輩で、 「わたしは、最後まで行ったのは3人だよ!」と舌を出しながら、おくびもせずに告白したのには驚いた。 「俺は、一人だけです!」と3番の堀先輩が答え、あたしは二度びっくりした。もしあたしに振られていたら、真凛先輩みたいに正直にはなれないだろうと思った。  王様ゲームも佳境に入り、膝枕とかハグするとか、肩を揉むとかボディタッチが多くなってきた。真凛先輩が上手く交わしているのを見て、あたしは嫌な予感がしていた。 「それでは、1番を全員でくすぐる!」という命令が降り、1番を引いたあたしがターゲットになった。 「堀、星を後ろから捕まえろ!」と先輩に言われ、堀先輩は拒むどころか率先してあたしを抑え付けた。その間に二人の先輩は、あたしの脇やお腹、足の裏から太腿をくすぐり、しまいにはおっぱいを揉み、股間にまで手が伸びていた。あたしの必死の抵抗も堀先輩に(はば)まれ、真凛先輩は笑って見ているだけだった。 「やめてください!どこに触ってるんですか?もう、堀先輩も離して!」と訴えると、 「よし、ここまで!怒るなよ、星。ゲームだからさ!一杯呑んで、落ち着いて!」となだめられ、あたしは怒りのやり場がなく、コップにつがれた飲料を一息に飲み干した。  白けた雰囲気の中でゲームは終わり、先輩たちは真凛先輩にちょっかいを出していた。あたしは帰らなくてはと思いながら、何杯目かのアルコールを口にしていた。真凛先輩が誰かとキスしている姿を見たのを最後に、あたしは頭がもうろうとしてきて気を失ってしまった。    夢の中で、「早く脱がせろ!」とか「初めは堀から」とか「処女か?」などと聞こえてきた。胸と股間への圧迫感があり、意識が混濁している中であたしは犯されているのだと思った。  しばらくして目が覚めると、あたしは素っ裸で畳の上に転がっていて、同じく堀先輩も裸で寝ていた。真凛先輩や二人の先輩の姿はなく、時計を見ると午後10時を回っていた。急いで下着と制服を身に着け、逃げる様に部屋を後にした。股間には痛みがあり、まだ何かが挟まっているような感じが残っていた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加