§1 姦通

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§1 姦通

 その日、両親は法事で岡山に出掛けていて、私たちは二人だけの夜を過ごしていた。夕食に宅配ピザを取って食べ、期末試験を控えていたのでそれぞれの部屋で勉強をした。合間に入浴し、寝る準備をしている所へ奏汰が部屋にやって来た。 「ちょっといい?聞きたい事があるんだけど」と言われ、私はてっきり勉強の事かと思い、 「いいよ、部屋に入りなよ!」と気楽に向かい入れた。 「あのさ、女の子の事なんだけど、キスから先はどうすれば言いのか、分かんなくて」と奏汰が真面目な顔で恋愛相談をしてきたので、私は可笑しくて少しからかってやろうという気になった。 「そんな事を、私に聞くの?まあいいけど、相手は琴子(ことこ)ちゃんでしょ。へー、キスしたんだ」 「まあな。それで、キスになれた頃、身体に触ろうとしたら嫌がられて、逃げられた」 「女の子の気持ちを理解してないね。キスをしたからって、琴子ちゃんにも心の準備が必要なんだよ。奏汰みたいに性欲むき出しで、下心見え見えに迫られたら、怖くなるんだよ」と私が諭すと、 「海里は経験者なんだろ!どんな風に迫られた?」と奏汰は反撃を仕掛けてきた。  私は確かに経験者で、高1で弓道部の先輩と関係を持った。恋愛経験のなかった私だったが、奏汰の影響もあって性への関心を持ち始めていて、彼の術中にはまってあっけなく処女を卒業した。先輩と付き合ってる事がばれ、それに刺激を受けた奏汰は幼なじみの風見(かざみ)琴子と付き合い始めたのは承知していた。 「さっきも言ったけど、琴子ちゃんには彼女なりのペースがあると思うし、自分の思いだけでなくて相手の気持ちになって考えてごらんよ!女の子の場合はいくら好きでも、心と身体は別なの。私の場合は、覚悟をしていたし、して欲しいと思っていたから後悔はないけどね」と私は、かつての恋を思い出して余計な事まで話していた。すると、奏汰は何を思ったのか、私の肩を抱き寄せて耳元で「好き」とささやいた。 「これで、どう?その気になった?」という奏汰は男の顔をしていた。 「あのさ、私を練習台にしないで!その気になんか、なる訳がないでしょ」といさめると、 「海里だって、一年前に俺を練習台にしてキスしたじゃん!今日は俺の稽古相手になってよ」と真剣だった。 一年前に弓道部の先輩と付き合い出した頃、口づけを求められてその事ばかりを考えていた私が、ベッドに寝ていた奏汰と無意識に唇を重ねた事を奏汰は言っていた。私はその時の事を思い出し、練習なら良いかと半ば自棄になって、仕方ないなという素振りで、  「いきなり触るのは駄目!キスをしながら優しく手を握ったり、髪に触れたりして気持ちを確かめるの!」と言うと、奏汰は納得した顔で私にキスをしようと迫ってきた。 「ちょっと、キスは駄目!琴子ちゃんとしなさいよ」と突き放すと奏汰はシュンとしてしまい、その態度が可愛らしかった。愛おしく感じた私は、 「おっぱいに触りたいなら、触ってもいいよ!」という言葉がつい口から出ていた。口づけや肉体的交わりをするのはいけない事だが、お互いの身体を見せ合ったり触れ合ったりするのは構わないと、その時の私は思っていた。その自分勝手な倫理観は奏汰を惑わしたが、思春期真っ盛りの男子に遠慮はなかった。 「ノーブラか?柔らかくて気持ちがいい!」と胸をいじりながら、率直な感想を述べていた。 「お風呂に入って寝る所だったからね。私のおっぱい、琴子ちゃんに比べてちっちゃいでしょ!」と私は照れ隠しもあってそう言いながら、奏汰の手の動きに甘んじていた。 「海里はどう?触られて気持ちが良いの?この後は、どうすればいいのかな?」 「そんなもんで、感じないわよ!今日は、もうお終い!あとは琴子ちゃんと試してごらんよ」と拒んだが、実は奏汰に触られて気持ちが良く、歯止めが効かなくなるのが怖かった。 ところが、奏汰は私の言葉に逆らって、私をベッドに押し倒して身体を預けてきた。まだ子どもだと思っていた奏汰の身体は予想以上に重く、私の力では押し退ける事ができなかった。 「ちょっと待ってよ!どういうつもり?」 「どういうって、続きを教えてもらうつもりだから。女の子の上になったら、どうするの?」 「どうするって、そんなに簡単に言わないでよ!男の子は直ぐにできるけど、女の子には準備が必要なんだよ。それに、相手が嫌がるのに強引にしたら、犯罪だからね。避妊もしなければ」と奏汰を強く責め立てた。 「そんな事は分かってるよ!だから、女の子の準備って何なのさ。どうすれば良いのさ」と奏汰は迫って来て、私は仕方なく愛撫の必要性を口で伝えた。奏汰は私の上に乗ったまま聞いていたが、たくましくなった男性器を私の太股(ふともも)に押し付けていた。 「ねえ、たってるの?練習でしょ!それに、挿れる時は女の子の脚を広げなくちゃ、入らないよ」とまた余計なアドバイスをしてしまい、「しまった!」と思った時には遅かった。奏汰はその気になって私の太股を開き、股の間に身を滑り込ませた。その時、私はノーブラ、ノーパンだった事に気付いて慌てて抵抗したが、奏汰は既に猛獣と化していた。無言のままに事を進め、すでに潤っていた私の中にすんなりとはめていた。私は無駄な抵抗を止め、改めて奏汰が好きだと思い知らされた。
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