§2 処女喪失

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§2 処女喪失

 雷太に背を向けてワンピースを脱ぐと、パンティーを脱ぐ手間もなく下半身が(あら)わになった。ブラジャーは着けたままのみすぼらしい格好で布団の上でうずくまっていると、素っ裸になった雷太に背中から抱き着かれた。乱暴にブラジャーをはぎ取られ、荒々しくおっぱいを(わし)づかみされ、乳首をつままれた時には痛さで悲鳴を上げていた。 「そんなにしたら、痛いよ!優しくしてって、言ったでしょ!」となじると、今度はわたしの体を仰向けに横たえ、抗議も虚しく乳首を思い切り吸ってきた。 「汐梨の乳首、かわいいな!今まで見た事なかったから、すげー興奮する!」と気持ち悪いくらいにしつこくなめていた。それでも、わたしの身体は意に反して感じ、下半身が濡れ始めているのが分かった。  おっぱいをいじる事に執着しながら、雷太の指がわたしの股間に再び達し、割目が押し開かれるのを意識した。その時に垣間(かいま)見た男の物は赤黒くいきり立っており、わたしに恐怖心をもたらした。かつてジャージの上から触って形を確かめた事はあったが、目の当たりにするのは初めてで身がすくむ思いだった。そんな心持ちでいる事も解せずに、雷太は指をわたしの未開の穴にはばかる事なく挿し込んで来た。指一本でこんなにつらく痛いのに、あんな物が入る訳がないと寒気だった。 「やっぱり無理だよ、やめよ!すごく痛いんだけど!」と訴えても聞かず、雷太は自分の欲望を満たそうと必死だった。  指での攻撃を早々に切り上げて脚を思い切り開かれたと思ったら、例の物をわたしの穴に押し当て挿入段階に入った。そして、コンドームを着けてと言う間もなく、息を()く間も与えずに一気に押し入ってきた。その痛さと言ったら今までに経験した事のない、何とも形容し難いものだった。親友の花恋は鼻の穴に指を突っ込まれたみたいな痛さだと語っていたが、とんでもない、身体が真っ二つに裂かれたような痛みで失神寸前だった。だが、身体を抑え付けられて身動きもできず、ただ痛みに耐えているしかなかった。汗だくで身体を動かし続ける雷太の背中にしがみ付くしかなく、ただ早く終わってほしいと願っていた。  とても長い時間していたように感じたが、まだ20分しか経っていなかった。雷太はそのまま中で射精し、満ち足りた顔をして横に寝そべっていた。さっきまで猛々(たけだけ)しく力強さを誇張していたそれは精気を絞り出し、しぼんだ風船のように情けない形になっていた。 「ねえ、中に出したの?ひどいよ、できたらどうするの?」と涙ながらに伝えると、 「ああ、ごめん!つい夢中になって、ゴムを着ける余裕がなかった。もしもの時は、責任取るから」と身勝手な言い訳をしていた。どう責任を取るのかは訊かなかったが、この人とはもう無理だと確信した。 「シオリン、処女だったんだな。てっきり前の彼氏と経験済みかと思ってたから、何でそんなにもったいぶるのか分からなかった。まあ、一度やっちゃえば、気が楽だろう」とまたまた身勝手にほざく雷太に、わたしはほとほとあきれた。雷太にとってわたしは性欲のはけ口で、単に身体目的の相手でしかなかったのだと忸怩(じくじ)たる思いに駆られた。これまでの楽しかった思い出も、潮が引くように消え失せた。  わたしが18年間守り通してきた処女は、野獣と化した雷太に無惨に奪われてしまった。男の強引な責めに屈しての合意であって、納得しての行為とは言い難いものだった。男を甘く見ていた自分の愚かさと、男の怖さを思い知らされて後悔しかなかった。
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