§3 性行為

1/1
前へ
/43ページ
次へ

§3 性行為

 月岡先輩とは、夏休みの終りに彼の家に行き、初めてのキスをした。奏汰としたキスのような時めきはなく、早く終わってほしいとだけ考えていた。最初に唇を重ね合ったあとで彼に、初めてかと問われて私は否定しなかった。それを良しとした彼は二度三度と私の唇を求め、断りもなく舌を絡めたり唾液を押し戻したりと遠慮がなかった。しかも、勝手に手を私の胸に置き、とても初めてのキスとは思えなかった。 「ちょっと隼雄さん、キスだけですよ!どうして胸を触るんですか?」 「う、うん、どんなかなと思って。海里の胸、小さいと思ってたけど、意外とあって大福みたい」というぶしつけな言い方が不愉快だったが、私は奏汰への思いを吹っ切るために我慢した。その日は服の上から触られるだけで終わったが、彼が身体を求めてくるのは時間の問題だと思っていた。  その日は意外と早くやって来て、初めてキスをしてから1週間後に、彼の部屋でセックスをした。男性の裸は奏汰をこっそり見て知っていたけれど、男の人に裸を見せるのも抱き合うのも初めての経験だった。処女を早く捨てたいという思いと、セックスという未踏の領域に対する期待、いつかはするものだという割り切った気持ちで臨んだ。その相手として、月岡隼雄はおあつらえ向きのはずだった。  彼は部屋に入るなりキスをし、そのまま私をベッドに押し倒した。制服のリボンをほどき、ブラウスのボタンを一つずつはずし、(あら)わになった素肌に口を付けた。そして、 「今日は、いいよね!」と今さらながらの承諾を求めた。私はこうなるであろう事を見越して万端の準備はしてきたものの、恥ずかしさと怖さで声が出なかった。私が抵抗しないのをイエスと受け取った彼は、ブラジャーのホックを片手ではずして乳房をさらけ出した。 「海里、かわいい!」と一言声を掛け、小さな乳首に食らいついた。私はあまりの痛さに我慢ができず、 「痛い!」と彼を突き放すと吸い付いていた口が放れ、今度は舌で()で回してきた。気持ちが良いかと訊かれたら、おそらく首を横に振っていたと思う。それにしても彼の行為は随分手慣れていると頭をかすめたが、その時私にそれを追求する余裕はなかった。  乳房への愛撫に何も反応しない私に飽きたのか、今度は下半身に触手を伸ばしてきた。制服のスカートを脱がせ、真っ白な下着に覆われた股間に目を凝らしていたかと思うや、硬く閉じた太腿のすき間に手をこじ入れた。私は緊張のあまりに脚の力が緩まず、閉じたままでいると、 「力を抜いて、脚を開いて!」としびれを切らした彼に促された。私がほんの一瞬力を緩めると、彼の手が容赦なく股間を捉えた。下着の上からなでられ、初めて甘美な快感に身もだえてあえぎ声を漏らしていた。彼はしてやったとばかりに、下着の中に手を入れて好き勝手にいじり回した。その刺激で私の秘所はぐっしょりと濡れて、それが恥ずかしくてもじもじしていると、 「海里、びっしょりだよ!処女なんだよね。なのに、こんなに愛液があふれ出てる」と彼を悦ばせていた。その露骨な言い方に品のなさを感じたが、ここで引き下がる訳にはいかないと我慢した。  彼は私のパンティーを脱がしてから再び凝視したかと思うと、大陰唇をこじ開けて指を穴に突っ込んできた。今までタンポンも使った事がなかった私は、その異物感に耐えられずに身をよじって逃げた。 「大丈夫だよ!最初は痛いかもしれないけど、段々と慣れるはずだから」という言葉とは裏腹に、執拗に指を限界まで挿し入れて散々もてあそんでいた。気が付くと、彼はいつの間にか全裸になっていて、自慢気に男性器を目の前で見せ付け、私の手を取って握らせようとした。それは堅い棒のようであり、奏汰の股間にだらしなくぶら下っていた、以前に見たそれとは別物だった。私は思わず目を背け、つかまれた手を引いて拒んだ。それに対して彼は得心したようで、すぐさま体制を変えて私の股の間に身体を滑り込ませた。そして、私の脚を大きく開いて男性器を股間に押し当て、穴の位置を確認してからじわじわと挿入を始めた。私は経験したことのない痛さに、身体を上にずらして逃げようとしたが許されなかった。 「まだ、先っぽが入っただけだから、これからだよ!もうちょっと我慢して!」と言いながら、一気に私の中に腰を沈めてきた。私は悲鳴を上げながら耐え忍んでいたが、彼は必死になって腰を動かし続けた。草食系とばかり思っていた彼は、既に肉食系の猛獣に化していて、欲望をむき出しのただの男だった。  すべてが終わると、彼はいつもの優しい顔に戻っていて、 「痛くして、ごめんね!誰もが経験する事だから、仕方ないよね」と慰めにも付かない言葉を掛けていた。私の一生に一度しかない初体験は、こうして月岡隼雄の手によって遂げられた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加