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§2 お泊り
1学期の期末試験が終わり、部活動の帰りに汐梨と奏汰は会う約束をしていた。学校近くの公園で、
「奏汰はテストどうだった?わたしは散々だったよ。1学期の成績、やばいよ」
「そんなにひどいの?俺はいつもと変わらずだ。じゃあ、慰めてやるね」と奏汰は汐梨に向き直り、いつも通りに唇を合わせた。辺りはまだ明るくて軽いキスで済ますつもりが、汐梨は唇を離さなかった。
「ねえ、奏汰はわたしとやりたい?わたし、最近その事ばかり考えていて、勉強も部活も身が入らないんだ。奏多のせいで何かすごくエロくなって、自分が自分でないみたいなんだ」と打ち明けた。
「俺のせいか、汐梨を変えられて光栄だな。やりたいという言葉もすごいけど、やってみる?」
「また、ふざけてる!わたしは初めてで怖いし、真剣なんだよ!やってみるって、何なのよ」
「ごめん!もし良かったら、来週の土曜日に泊りに来ない?両親は旅行だから、誰もいないんだ」
奏多の誘いに少しためらったが、汐梨はそれまでに覚悟を決めようと思い承諾した。
土曜日の夕方、汐梨はお泊りの支度をして奏汰の家に向かった。花恋に事情を話すと喜んで口裏合わせに協力し、親には花恋の家に泊ると嘘をついて出掛けた。この日までの1週間に、汐梨は真新しい下着を準備し、処女の自分と別れる覚悟を決めていた。そして、もしもの時のために、薬局でコンドームを買って用意万端の構えで臨んだ。一方、奏汰も汐梨を迎える準備に余念はなく、ベッドに新しいシーツを敷き、コンドームを枕の下に潜ませていた。
汐梨が家にやって来ると二人ともぎこちなく、奏汰の作り置きのカレーライスを食べ終えて、
「まだ早いけど、どうする?DVDでも観ようか?」と奏汰に言われたが、汐梨はそれどころではなく落ち着かなかった。ソファーに腰掛けてホラー作品を観ながら、奏汰は汐梨を抱き寄せた。映画の途中で我慢できなくなった二人は、熱いキスを交わしてお互いの身体を探り合った。
「明日は汐梨の誕生日だよね。はい、プレゼント!」と奏汰はペンダントを汐梨の首に掛けた。
「よく覚えていたね、うれしい!素晴らしい17歳の誕生日だよ」と汐梨は再び抱き着いてキスをした。
「そろそろ俺の部屋に行こうか?」と奏汰が誘うと、汐梨がシャワーを浴びたいと言うと、
「それじゃ、一緒に入ろうか?」といつもの痴れ事で、牽制してきた。
「だめ、まだ裸を見られるのも見るのも、恥ずかしい。それに心構えがあるから」
「そうか、分かった!バスタオルは置いてある物を、自由に使って良いよ」とバスルームに案内し、汐梨の出て来るのを待っていた。汐梨はさっきまでの触れ合いで、下半身が洪水のようだった。
「ありがとう!奏汰は、シャワーはいいの?」と声を掛けられて振り向くと、汐梨はバスタオル一枚を身体に巻いているだけで、奏汰は思わず目を反らしていた。。
「汐梨、それって刺激的過ぎるよ。気っぷが良いというか、目のやり場にこまるんだけど」
「気っぷが良いって、男らしいって意味で使う言葉でしょ!だって、何を着て良いか分かんなかったんだもん。どうせ脱がせられるんだからいいかなって」と汐梨は真っ赤になりながら、開き直って言った。
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