§3 初体験未遂

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§3 初体験未遂

 汐梨はベッドに仰向けになり、奏汰はその上に重なってキスから始めた。その後、汐梨の身体にまとっていたバスタオルがほどけると、Cカップの胸が露わになった。汐梨は懸命に腕で隠そうとしたが、 「よく見せて!今までは触るだけで初めて見たけど、想像通りのおっぱいだ」 「やだ、恥ずかしいからそんなに見ないで!想像通りって、どういうこと?」と問われ、奏汰はその大きさ、寝崩れしない形を説明して感動を伝えた。そして、手を使ってその柔らかさを確かめ、まだ突起の乏しい淡い色の乳首を指でいじった。さらに指だけでは満足できず、乳首を口に含ませ舌で軽くころがした。汐梨は我慢し切れずに(あえ)ぎ声を漏らし、両手を奏汰の頭に回して引き寄せていた。 「赤ちゃんみたいだね。赤ちゃんにこうやって吸われたら、感じるのかな?」と漏らすと、奏汰は顔を上げ、 「それとこれとは、別なんじゃないの?その度に感じていたら、赤ちゃんがびっくりするよ!」と真面目に答えていた。奏多は再び汐梨の身体を見下ろし、股間に手を伸ばしていった。 「下の毛、若草みたいに柔らかいね!いつ頃から生え始めたの?」 「あん、くすぐったいよ!そんな事を訊いて、どうするの?こんな時に、集中してよ!」 「ごめん!汐梨の緊張を解すためなんだけど、実は俺のためでもあるんだ」と意味不明な事をつぶやいた。 「奏汰も緊張してるってことなの?なら教えて上げるけど、小6ぐらいから胸が膨らみ始めて、中2の頃には男子に見られるのが恥ずかしいくらいだった。下の毛は気付かなかったけど、中1の時には生えていた」 「変な事を訊きついでに、自分でここに触った事はある?」と言いながら、奏汰は汐梨の割目を指でたどっていた。汐梨はそんな質問にもう答える余裕はなく、指で触れられる快感に身もだえていた。 「すごい、びっしょりだよ!こんなに濡れてるの、初めてだよ!海里はこんなじゃなかったな」と奏汰は思わず口にしていた。同時に「しまった」と思ったが、放心状態の汐梨の耳に届いていないようでホッとした。  奏汰は汐梨の割目をこじ開け、指に神経を集中させて未開の境地へと進めた。汐梨の一番敏感な部分を指でなで、一番大切な部分に指を滑らした。愛液で潤ったそこは、奏汰の指をスムーズに迎え入れた。 「うーん、少し痛い!」と受身のままだった汐梨は、無意識に腰を引いていた。奏多に汐梨を気遣う余裕はなく、無言のまま自分の下腹部に手を当ててみると、それは柔らかくぶら下っているだけで、一向に堅くならないただの排泄器官に過ぎなかった。  汐梨が忘我の境から戻ると、奏汰が汐梨に背を向けてうなだれていた。 「ねえ、どうしたの?もう終わったの?」といぶかし気に訊く汐梨に、奏汰は応じなかった。汐梨は起き上がり、奏汰の背中に胸を押し付けて腕を前に回し、 「まだ指しか入れてないよね!ゴムなら買ってきたから、心配しないで」と耳元で告げた。 「そうじゃなくて、俺、やっぱりたたないんだ」と蚊の鳴くような声で答えた。汐梨は理解できずに、 「何それ。やっぱりって、何?立たないって、何が?」と疑問を述べ立てた。 「あれが勃起しないって事で、汐梨の中に入れられないって事だよ。俺、前から勃起不全で、いろいろ試してみたけど、駄目なんだ。今までにキスしたり触ったりして、兆候はあったんだけどやっぱり駄目みたい。汐梨とならできると思っていたのに、甘かった。ごめん!」  汐梨はその説明に得心が言った訳ではなかったが、奏汰がどうしようもなく辛い事は理解した。 「いいよ!わたしはいつでも良いから、またしよう!ねえ、こっちを向いて」と奏汰にキスを求めた。そして抱き合い、二人並んでベッドに横たわった。 「わたしに何かできる事があるならば、言って!何でもするから。友だちから聞いたんだけど、フェラってどうすれば良いの?そういえば、わたしまだ、奏汰の大事な所を見た事も触った事もないよね」 「ごめん!俺にもプライドがあるから、萎縮した物を見るのも触るのも勘弁して!」と(かた)なに奏汰は拒んだ。汐梨のなす(すべ)はなく、そのまま抱き合って眠ろうとしたその時、部屋のドアが開かれた。
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