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勇者よ、良い一年を
時間がだんだん迫ってくる。お互いに住む世界が違ってしまったが、かわいい弟であることには、何の変りもない。
「じゃあ、体に気を付けて。変な魔物が来たら逃げるんやで」
「うん。姉ちゃんも、婚活がんばってな。俺の分もお父さんとお母さんを頼む」
「分かった。じゃあ、また、来年。よいお年を」
「姉ちゃんも。よいお年を」
電話が切れた。11時59分、あ、今、年が明けた。
勇者は今から王宮の祝賀行事に出席するのだろう。私は一眠りしてから、初詣に行って、弟の武運を祈ることにしよう。
勇者に栄光あれ。
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