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曰く
「異世界転生をするものは、幼児期に心の傷を負っている」
曰く
「異世界転生をするものは、家庭環境に問題がある」
曰く
「異世界転生をするものは、異性にコンプレックスを持っている」
臨床心理学者やら、霊能力者やら、脳科学者やら、いろんな人が言いたい放題だった。
しかし、異世界転生をする人間はどんどん増えていった。
新婚旅行で幸せ真っただ中にいる女性が、ビーチでホオジロザメに襲われて転生した。バリバリに仕事をしていたニュースキャスターが、生放送中に照明器具が落ちてきて転生した。
異世界転生は、その人の生活の満足度とは何の関係もないことが証明された。
いつ、どこで異世界転生するのかは、誰にもわからない。神のみぞ知る、だ。
そうなってくると、みんな不安になってくる。
もしも家族が異世界転生してしまったら?
その後に、ヒソヒソされたら?
そんなのたまらない。
そこで成立したのが「転生者家族救済法」だ。
異世界転生は予測不能な超常現象であり、残された家族は救済されるべきである。法律に、そう明記されている。私たちのような家族を誹謗中傷することは法的に禁止された。
学校でも「家族が異世界転生した人たちへの理解」という授業がおこなわれているようだ。ある日近隣の小学校から千羽鶴と励ましの手紙が来たときは、ちょっと笑ってしまった。
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