達也③

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 言っている意味が分からなかった。掌がまだ痺れている。体の震えが止まらない。涙が頬を伝う。僕はその場に嘔吐した。由香里が怒鳴ったが何と言ったのか聞こえなかった。僕はゆっくりと立ち上がり、用意しておいたシャベルを片手に亜里沙を担いで捨てに行った。だが、思うように前に進めない。視界もどんどん悪くなっていく。僕は3分ほど歩いたところで雪を掘り、亜里沙を捨てた。へとへとで戻ってきた僕に掃除中の由香里が、 「ない」 「何が?」 「指輪」 「指輪?」 「取れてる。してきたのに。探してもない」  早口で今にも泣きだしそうな口調だった。僕には言っている意味がわからなかった。だが、由香里は「ない、ない、どうしよう」と取り乱している。 「落ち着けよ、どういうことだよ」 「わかんないの? あいつの服とかに紛れ込んだかもしれないんだよ。もしかしたら、握ってるのかもしれない。それが見つかったらどうなるかわかってんの?」  そう言われてようやく理解できた。確かにかなりマズい状況だ。 「取りに行くか?」 「なんとかして。私は掃除しとくから」
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