達也

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 悲鳴のような吹雪が鳴り響いている。明るく温かい室内でそれを聞きながらコーヒーを一口飲み、惰性で点けているだけのテレビを眺める。  ドアがノックされたような音がしたので振り返った。風の仕業かもしれない、としばらく様子を伺ったが、やはりノックされている。僕は立ち上がり、ドアの前へ向かった。 「はい」 「戻ったよ。開けて」 「わかった。交代だ」  ドアを開けた。由香里を中へ招き入れる。 「早かったな」 「さすがにもう厳しいね」 「わかった。最後に一回、行ってくる。とりあえずこれで最後にしよう」 由香里がほほ笑んだように見えた。僕は外へ出た。  
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