由香里②

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「なんだよそれ」 「殺さないの?」 「もういいよ」 「殺したいんでしょ?」 「もういいって」 「殺そうよ」 「いい加減にしろよ」達也が怒鳴った。 「バラすよ」 「何が?」達也が一気に青ざめた。声も震えていた。 「今までのこと。録音してるやつもあるし、撮ってるやつもある。連絡のやりとりも保存してるし、亜里沙のアドレスも当然知ってる」 「お前……」  達也が立ち上がろうとして、転んでベッドから落ちた。間抜けすぎて思わず笑ってしまう。 「嘘つくなよ」 「嘘じゃないよ」 「ふざけんなよ」 「もういいじゃん。殺しちゃおうよ」 「そんなの無理に決まってんだろ」 「何で無理なの?」  由香里はベッドから降りた。達也がゆっくりと後ずさりをする。  達也が頭を掻きむしり、抱え、唸り声を上げた。由香里はそれを無視して、バッグから煙草を取り出し、火をつけた。 「お前、吸うんだな」達也が消え入りそうな声で言った。 「あんたが吸わせたのよ」 「なんだよそれ」達也がその場にへたり込んだ。
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