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「なんだよそれ」
「殺さないの?」
「もういいよ」
「殺したいんでしょ?」
「もういいって」
「殺そうよ」
「いい加減にしろよ」達也が怒鳴った。
「バラすよ」
「何が?」達也が一気に青ざめた。声も震えていた。
「今までのこと。録音してるやつもあるし、撮ってるやつもある。連絡のやりとりも保存してるし、亜里沙のアドレスも当然知ってる」
「お前……」
達也が立ち上がろうとして、転んでベッドから落ちた。間抜けすぎて思わず笑ってしまう。
「嘘つくなよ」
「嘘じゃないよ」
「ふざけんなよ」
「もういいじゃん。殺しちゃおうよ」
「そんなの無理に決まってんだろ」
「何で無理なの?」
由香里はベッドから降りた。達也がゆっくりと後ずさりをする。
達也が頭を掻きむしり、抱え、唸り声を上げた。由香里はそれを無視して、バッグから煙草を取り出し、火をつけた。
「お前、吸うんだな」達也が消え入りそうな声で言った。
「あんたが吸わせたのよ」
「なんだよそれ」達也がその場にへたり込んだ。
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