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達也③
「これが言ってた別荘かー」
数時間前ここへ来た時、亜里沙が言った。久しぶりに一緒に出かけよう。そうだ、前に一度言ったことがあるかもしれないけど、別荘があるから行こう。そう誘ったら、微塵も疑うことなくバイトを休んでついてきた。
ドアを開けた。「どうぞ」と亜里沙を先に入れる。ドアの後ろで待ち構えていた由香里が用意した金属バッドで殴りかかった。やはり頭は躊躇したのか、肩に当たった。
何が起こったのか把握できていない亜里沙は悲鳴を上げて逃げようとした。それを僕が阻止した。由香里はバットで殴り続けるが、やはり頭は殴れなかった。痛い、痛い、何? 何? と喚く亜里沙。由香里と目が合った。
「何かないの? 他に?」
心臓に響く強い声だった。慌てて探すが何も見つからない。その間にも由香里は亜里沙を殴り続ける。
「早く、早くしろ!」
由香里が怒鳴る。僕は足を滑らせて転んだ。目の前に電気ポットがあった。僕はそのコードを引き抜いて、持って行って、差し出した。
「そっち持って!」
片方を差し出してきた。言われるがまま持った。由香里がコードを亜里沙の首に巻き付けると、
「引っ張って」
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