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エミールはエストレ子爵の執務室の前に立つと、ドアをノックする。
「入れ」との子爵の声がドアの向こうから聞こえる。
ドアを開けてエミールは部屋に入り、執務机につくエストレ子爵の前に立つ。
「お呼びでしょうか、父上」
「あれから3日たったぞ、リュシー嬢からの求愛の『証拠』はまだか?」
「もう少しお待ちください。ただいま準備をしている状態でございます」
「準備……? お前がそんな用意周到には思えんがな」
「……」
図星をつかれたエミールはエストレ子爵に返す言葉が見つからず、黙ってしまう。
「やはり、口からの出まかせか」
エストレ子爵はエミールに目線を向けることはなく、領内から届く手紙に目を通しながら話す。
「そんなことはございません!! 必ずすぐに『証拠』をお見せします!!」
前のめりになり、腕を大きく広げながら反論するエミール。
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