第6話 お茶会の招待状~Sideエミール~

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 エミールはエストレ子爵の執務室の前に立つと、ドアをノックする。  「入れ」との子爵の声がドアの向こうから聞こえる。  ドアを開けてエミールは部屋に入り、執務机につくエストレ子爵の前に立つ。 「お呼びでしょうか、父上」 「あれから3日たったぞ、リュシー嬢からの求愛の『証拠』はまだか?」 「もう少しお待ちください。ただいま準備をしている状態でございます」 「準備……? お前がそんな用意周到には思えんがな」 「……」  図星をつかれたエミールはエストレ子爵に返す言葉が見つからず、黙ってしまう。 「やはり、口からの出まかせか」  エストレ子爵はエミールに目線を向けることはなく、領内から届く手紙に目を通しながら話す。 「そんなことはございません!! 必ずすぐに『証拠』をお見せします!!」  前のめりになり、腕を大きく広げながら反論するエミール。
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