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第5話 奏でる音色のその先に
二人きりのお茶会をしてからも、ソフィは変わらずジルへの想いに胸を焦がしていた。
(はぁ……ジルは忙しいかしら……今度はいつ会えるのかしら……)
ソフィは庭園の見える自室の窓際の椅子に座り、外を眺めていた。
今日は来るかもしれない、と毎日何度も外を確認するソフィ。
(そんなに頻繁に来てくれるわけないわ……。私がエミール様と婚約してからはかなり会う頻度が減っていたし)
ソフィは窓から離れると、部屋の奥にあるピアノの前に座る。
繊細で優しい音色がソフィの部屋に響く。
(この曲……よくジルに弾いてあげたかしら……)
ソフィの細く白い指先は、美しくなめらかな旋律を奏でる。
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