第5話 奏でる音色のその先に

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「──っ!」  すると、ソフィの手を包み込むように大きくしっかりした、けど優しい手が添えられる。 「ジルっ!?」  ジルの大きな手がソフィの手を包み込み、やがて二人の協奏曲が流れる。 「もっと聴かせて……ソフィの音色……好きなんだ」 「──っ!」  ソフィの心臓はドクンドクンと大きく鼓動を速める。  手が触れ合い、そして『好き』という言葉が耳元で囁かれる甘い甘い空間に、ソフィはめまいがしそうだった。 (こんなに身体が触れ合って……どうしましょう……息が止まってしまいそうっ!)  二人の重なる音色は、愛しい想いと共に優しく、そして甘く響き渡る。 「幼い頃、ソフィはよくこの曲を僕に聴かせてくれたね」 「……覚えていたの?」 「忘れるわけないさ。僕はソフィの弾くこの曲が好きで好きでたまらない」 (……どうしてそんなに私をドキドキさせるの……? ねぇ、なぜ……?)  ソフィは顔が赤いことを悟られないように必死にピアノに集中する。  けれども、ジルはくすっと笑ってソフィの耳元に唇を近づける。
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