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「耳が赤いよ、緊張しているの?」
「っ!!」
思わず隠すことを忘れて反射的にジルのほうを向いてしまうソフィ。
瞳にわずかに涙を浮かべ、もう限界だというようにぎゅっと唇を結ぶ。
その様子にジルはピアノを弾く手を止め、ソフィの頬に手を添える。
「はぁ……、どうしてそう僕を煽る表情をするんだい?」
「──っ!」
二人の顔がゆっくりと近づき、唇と唇が重なる寸前でソフィは思わずぎゅっと目をつぶってしまう。
すると、ソフィは額に何かが触れる感触がして、びくりと肩を揺らす。
「ん……」
ソフィのおでこにジルの唇が触れる。
目を開いて自分に起こったことに気づき、余計に顔を赤らめるソフィ。
「ジルっ!?」
「ごめん、我慢できなかった……」
優しくもちょっと悪戯な表情を浮かべるジルに、ソフィは恥ずかしさの反動で両手でジルの胸を叩く。
「もうっ!」
ソフィがその次の言葉を紡ぐことはできなかった。
「愛しいお姫様、どうかこの僕をお許しください」
そういって再び甘い罪がソフィのおでこに降り注いだ──
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