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「失礼します」
執事がドアをノックして執務室に入り、そのまま二人の傍に近寄る。
「以前エストレ子爵がご交流されたことがある、マルベール侯爵家より、リュシー様からエミール様宛で招待状が届いております」
「──っ! ほら、父上! リュシー嬢からこの僕宛に招待状が届いたではありませんか!! これで求愛の『証拠』が揃いましたね!」
「招待状くらいで『証拠』になるか! リュシー嬢の直接のお言葉を聞かない限りは納得できん」
エストレ子爵は手紙の返事をペンで執筆していた手を止め、エミールに向かって告げた。
「それでは、リュシー嬢を直接うちに連れてきます! それなら信じてくださいますか?!」
「そうだな、それでリュシー嬢の口からお前への愛を聞ければ納得しよう」
「かしこまりました! それでは、お茶会に参加して約束を取り付けてまいります!!」
「……ああ」
「それではお茶会の準備があるので、失礼します!」
そういうと、エミールは上機嫌にエストレ子爵の執務室を去った。
エミールの去った執務室にて、エストレ子爵は執事に命じていた。
「エミールには報せず、お茶会の様子を私にあとで報告しろ」
「かしこまりました、旦那様」
「お前の言う求愛が本物か、しっかり見届けさせてもらうぞ」
そう呟き、子爵は再び手紙の執筆にとりかかった──
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