第6話 お茶会の招待状~Sideエミール~

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「失礼します」  執事がドアをノックして執務室に入り、そのまま二人の傍に近寄る。 「以前エストレ子爵がご交流されたことがある、マルベール侯爵家より、リュシー様からエミール様宛で招待状が届いております」 「──っ! ほら、父上! リュシー嬢からこの僕宛に招待状が届いたではありませんか!! これで求愛の『証拠』が揃いましたね!」 「招待状くらいで『証拠』になるか! リュシー嬢の直接のお言葉を聞かない限りは納得できん」  エストレ子爵は手紙の返事をペンで執筆していた手を止め、エミールに向かって告げた。 「それでは、リュシー嬢を直接うちに連れてきます! それなら信じてくださいますか?!」 「そうだな、それでリュシー嬢の口からお前への愛を聞ければ納得しよう」 「かしこまりました! それでは、お茶会に参加して約束を取り付けてまいります!!」 「……ああ」 「それではお茶会の準備があるので、失礼します!」  そういうと、エミールは上機嫌にエストレ子爵の執務室を去った。  エミールの去った執務室にて、エストレ子爵は執事に命じていた。 「エミールには(しら)せず、お茶会の様子を私にあとで報告しろ」 「かしこまりました、旦那様」 「お前の言う求愛が本物か、しっかり見届けさせてもらうぞ」  そう呟き、子爵は再び手紙の執筆にとりかかった──
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