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第8話 熱情のノクターン
「ジルっ!!!」
ソフィはジルの自室をノックもせずに入った。
着替えもそこそこに家を飛び出したソフィ。
苦しそうなジルの姿を見て、傍にいたルノアール公爵家の執事に声をかける。
「容態はどうなのですか?」
「おそらく風邪だとは思いますが、少々こじらせてしまったようでして……」
「私もお手伝いしてもいいかしら?」
「そんな! ソフィお嬢様の手を煩わせるわけには……」
「ジルが心配なの! お願い、看病させて?」
ソフィは自分でも驚くほど大きな声で告げていた。
駆け寄るようにジルに向かって声をかける。
「ジルっ! 私よ、大丈夫?」
「ソフィ……? 来てくれたのかい……? 僕は大丈夫だよ、少し風邪を引いただけさ」
無理に起き上がろうとするジルをソフィは制止する。
「ダメよ! 寝てなくちゃ……」
そう言って、額に濡らした布を乗せる。
その後もソフィは執事と協力しながら、何度も何度も布を変えたり、水を飲ませたりとひたむきにジルを看病する。
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