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第8話 公爵様のご友人
シャルロッテが「立派な妻」修行をはじめてすぐの頃、アイヒベルク邸にはお客が来ていた。
自室で挨拶マナーの練習をしていたシャルロッテは、聞きなれない声を聞きつけてエルヴィンの自室前にいく。
中からは若い男性とエルヴィンが談笑する声がして、気になったシャルロッテはドアを少し開けて覗いてみた。
「それで、お前はあの時、俺の代わりに父上に叱られてな!」
「ああ、あの時は私の人生が終わったかと思った」
「子供のすることなんだから大目に見ればいいものを」
「いや、さすがに国の文書に落書きをしたら王だって怒るぞ」
幼い頃の話で盛り上がる二人の様子を、ドアの隙間から覗くシャルロッテ。
(なにやらめんどくさがりながらも、楽しそうなエルヴィン様。それに隣のかなり身なりのいい方どこかの貴族様でしょうか?)
シャルロッテが二人の様子を伺っていると、エルヴィンがその視線に気づいた。
「シャルロッテ、なにかあったかい?」
「あ、いえ! お仕事のお邪魔をして申し訳ございません」
シャルロッテはあたふたとしながら謝ると、頭を下げたときにドアに頭をぶつける。
「~~~っ!!」
「大丈夫かい?! シャルロッテ!」
ぶつけた反動で勢いよくドアが開くと、シャルロッテの姿が二人の前にさらされる。
すると、エルヴィンの横にいた身なりの良い若い金髪碧眼の男性が嬉しそうに声をあげた。
「君が噂のシャルロッテ嬢か! 会えて光栄だよ!!」
(私をご存じなんでしょうか)
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