第10話 崩壊の始まり~Sideヴェーデル伯爵家~

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 シャルロッテに偽の招待状を届けたアドルフ伯爵家の執事とエミーリアが金庫の前で話している。 「こちらの招待状をシャルロッテ様にお届けしたらよいのですね?」 「ええ、伯爵令嬢にはたんまり金貨を渡しておくわね」 「エミーリア様の私財でございますか?」 「いいえ、お父様のものよ。うちにはいくつも金庫があるくらい財産があるの! しかもどれも隠し細工でわからないようにしてるから安心よ!」 「そうなのですね、隠し細工……」 「そ、だって本なんて読まないんだから本棚があっても意味ないでしょ? せめて活用しなきゃ!」 「本棚ねえ……」  その執事はエミーリアが背を向けている隙ににやりと笑った。
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