第12話 消えゆく家族の絆~Sideヴェーデル伯爵家~

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第12話 消えゆく家族の絆~Sideヴェーデル伯爵家~

 ヴェーデル伯爵は朝食後、自室に戻ろうと廊下を歩いていた。 「たくっ! 金庫の金がなくなったせいで夜も眠れん」  イライラを募らせながら、自室のドアに手をかけたとき、外から何やら騒がしい声が聞こえてきた。  不思議に思ったヴェーデル伯爵は玄関のほうに向かってみる。  すると、執事の一人が貴婦人と揉めており大きな声をあげていた。 「うるさいぞ、一体どうしたのだ」 「だ、旦那様っ?!」  執事の言葉を聞いて、憤慨していた貴婦人はヴェーデル伯爵に詰め寄る。 「あなたがヴェーデル伯爵かしら?」 「ええ」 「ちょうどいいわ、伯爵夫人はいらっしゃるかしら?」 「妻でしょうか……おりますが、お茶会のお誘いでしょうか?」  顔を赤くさせて怒っている様子にもかかわらず、呑気な質問を返すヴェーデル伯爵。  その返答に顔をひくつかせてさらに怒りを募らせながら、貴婦人は言う。 「あなたのとこの夫人とうちの旦那が不倫をしているのよっ!!!」  その言葉を聞いて初めて事の重大さを理解したのか、はたまた思考が停止したのかヴェーデル伯爵は口をあんぐり開けて目を見開いて言った。 「なんだとおおおおおおーーーーー!!!」
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