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第16話 幼馴染の計略
「さあ、『国の使い』が3名やってまいりましたよ」
エルヴィンのその言葉を合図に、後ろにいたクリストフが前に出る。
その姿を見たヴェーデル伯爵は目を見開き、恐怖に溺れる表情を見せた。
「だ、第一王子……」
「ええ、私も直々にやってまいりましたよ。なんたって『冷血公爵』のお裁きですからね。生で見ないと」
そういってシャルロッテの肩を抱こうとするクリストフの手を、エルヴィンが払いのける。
クリストフが首をすくめて「冗談だよ」と言うと、エルヴィンは再びヴェーデル伯爵に向き直した。
その後ろでシャルロッテはエルヴィンに言われた一言を思い返していた。
「私の『冷血公爵』の仕事をみてほしいんだ」
シャルロッテはじっとエルヴィンを見つめ、黙って父親が裁きを受ける様子を見守る。
(ええ、しっかりあなたのお仕事を妻として見させていただきます)
シャルロッテの視線の先にいるエルヴィンはゆっくりと話し始めた。
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