窮屈な居場所

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「わぁー、そりゃ大変だったね…。朝からお疲れさま」 「本当、家でるまで息苦しくてたまんなかった。私が死ぬとしたら…きっと胃の病気だよ」 「胃⁉︎なんで」 「ストレスに決まってるじゃん…もうっ…一回でいいから私の1日を体験してみてほしいよ。でも、志保だと1時間…いや、10分が限界かも」 待ち合わせ場所の大手町駅で合流するなり、私たちの会話は止まらなかった。 「10分かー。ふふっ、10分ならまぁ、体験してみたい気もするけど」 「そう思うのは体験してないから言えることだからね」 「でもまぁ、そんな生活を8年も続けてきたわけだから。本当スゴイよ、美春は」 志保はそう言うと、私を慰めるように優しくそっと頭を撫でてくれた。 「ありがと」 そう言いながら私よりも10センチ近く背が高い彼女を見上げると、相変わらず女子力は抜群で。 志保は本当に綺麗に歳を重ねてるなぁ…なんて。 お洒落なダークグレーのパンツスーツが似合う彼女がつい羨ましくなった。
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