窮屈な居場所

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とはいえ、短大を卒業して間もなく結婚した私には職歴といえるような職歴がない。 高校や短大時代にアルバイトとして働いていた定食屋くらいしか職務経験と呼べるようなものがなかった。 それに、志保が働く株式会社風見不動産は、風見不動産ホールディングスの直接の完全子会社であり、世間でも名の知れた大手企業だ。 風見不動産はマンション分譲事業や戸建分譲事業などを主としていて、特に高級住宅販売が事業の柱で、近年は供給戸数が業界トップクラスにまで成長している。 そんな大きな会社だったからこそ。 いくら短期のアルバイトとはいえ、私みたいな社会人経験のない者を採用してくれるなんてこと、絶対あるわけないのに…と。 志保も焦っていたせいで相当血迷ったな、なんて思っていたのが本音だったけれど。 三日前。 「美春!決まったよー!しかも即決だった!」 と、書類を送付してすぐに志保から思いがけない連絡がきた時は、とにかく驚きと困惑で頭がいっぱいになった。 だけど同時に、小さな喜びも生まれていた。 もしかしたらこれは、神様が私に与えてくれた束の間の息抜きのような…プレゼントなのかもしれない。 息苦しさで壊れてしまいそうな私への、三ヶ月だけのご褒美かもしれないと。
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