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自己紹介が終わったところで嶺歌は気になっていた事を尋ねてみる事にした。
一番に聞きたい事は他にあったが、その前に何が目的で嶺歌を連れ出したのかという事がこの状況では特に重要だ。
協力を願いたいとは言ってたが、一体どんな協力なのかそれを知る必要があった。
早速彼女に問い掛けると形南は勿体ぶる様子もなく、直ぐに答えを口に出す。
「はい。ご協力と言いますのはとあるお方に接触するのをお手伝い頂きたいのです」
「接触……? どういった方なんですか?」
そう口にし、ハッと我に返る。安易に質問ばかりをしては無礼ではなかろうか。
嶺歌は途端に青ざめるとその様子を正面から見ていた形南はくすくすと笑い出した。
「構いませんのよ。ご質問は尤もな事。ご協力いただく以上は、どんな事柄でも私にお尋ね下さいな」
そして彼女は麗かで上品な笑みを向けるとそのまま言葉を続けた。
「とあるお方というのは私の運命のお方の事ですの」
運命の方というのはつまり、婚約者という事だろうか。しかし言い方からするとまだ面識がないかのような言い方だ。
嶺歌の脳内で次々と疑問が浮かび上がる中、形南は次に予想外な言葉を繰り出してきた。
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