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竜脳寺に関する情報は形南や兜悟朗から得る事もできたが、詳しい事柄を今回尋ねるのは敢えて避けていた。
情報を提供しただけでも不名誉になってしまうかもしれないと危惧したからだ。
向こうからも聞かされる事はなく、それは二人も同じ事を考えているからなのだろう。兜悟朗の『貴女様一人に』という言葉にその意味も含まれていたのだと嶺歌は考える。
竜脳寺に関して情報が欲しいのは事実だったが、特に不便はなかった。自分は魔法少女であり、情報収集は割と得意分野だったからだ。
(あんまり使い道はなかったけど最近はよく使うな)
以前形南の出逢い作戦でも使用した自身の身体を透明にする魔法で嶺歌は竜脳寺の学校に潜入していた。
彼の学校は形南に婚約者の存在を教えられた際に聞いていたので覚えていたのである。
これくらいは大した情報でもないため、高円寺院家の誇りに傷が付くこともないだろう。
嶺歌は学校に潜入しながら竜脳寺の姿を見つけ出し、数日間彼を観察し続けた。行動範囲を把握し、彼の弱点を探る為だった。
そしてそれらを何度か繰り返した後に、嶺歌は復讐のシナリオを閃く。
(これならあれながスカッとするはず)
考えついた復讐を嶺歌は頭の中で整理し、実行日を決める。早ければ早いほど良い。迷う事なく実行日は明日に決めていた――。
第十四話『独りよがり』終
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